▶マッドスマイル (ページ32)

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笑顔が31こページ32

(すぐにどこかに行くだろう)

そのグルッペンの思惑とは反対に、Aはおどおどしながらも、「行くよ？」と思いっきり変顔を披露する。
思わぬAの行動にグルッペンは吹き出す。

gr「マジか、くふっ、ホンマに変顔するなんてっ！」

ゲラゲラと笑うグルッペンに最初は驚いていたAも、いつの間にか釣られて一緒に笑ってしまう。
二人してひとしきり笑い終えると、グルッペンはAの手を引いて中庭のベンチへと腰をかけた。

gr「いやひさびさに笑った。Aもちゃんと笑えるんだな」

その言葉にAは目を見開く。

『ほんまや、ちゃんと笑ったんいつぶりやろ……嫌やった？』

gr「いや、むしろ良かったゾ！Aには笑顔が似合うな」

心配するAにグルッペンは優しい笑顔で語りかける。

gr「むしろなんで今まで愛想笑いなんてしてたんや？」

その言葉にAの顔が急に暗くなる。グルッペンは気づいていた、お互い独りぼっちであると。そして感じていた、お互いは通じ合うことができる唯一の仲だと。

gr「俺らは親友や。俺も独り、Aも独り。でも俺はお前に心を開くことができた。だから話してくれへんか？」

優しく問いかけるグルッペンに、Aはグッと拳を膝の上で握る。グルッペンはその手の上に優しく自身の手を置き優しく包み込む。
その行動にAは肩を揺らすも、深呼吸を数回繰り返し話だした。

Aの親は政略結婚だった。そのためそこに愛などはなく、母は病弱であったため早々にこの世を去った。すると父は元々愛人であった女性と結婚をした。Aは母に似ていたこともあり、親からは煙たがられていた。理不尽なことで手を挙げられるのは当たり前。少しでも泣いたり、不機嫌な顔をするとより一層激しく当たられたため、いつからか作り笑いを貼り付けるようになっていた。心から笑ったのはいつだったのか自分でも分からないとAは震えながら話した。
その小さな体では受け止め切れない程のことを今までたった独りで堪えてきたAに、思わずグルッペンは優しく抱きしめる。

gr「よく独りで頑張ったな」

ポンポンと背中を優しく叩いてやると、Aはぎゅっとグルッペンの服を掴み、グルッペンの肩に顔を埋める。
少しするとグルッペンもそのまま話し出す。