▶マッドスマイル (ページ22)

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笑顔が21こページ22

カッターの一件以来、添加物はAを避けようとしていた。しかし、Aより「驚かしてごめんね」と謝られたため、避けるのがやや難しく、また以前と変わらずAが話しかけてくるため避けられないでいた。
また、Aに恐怖を抱いていた添加物も、その後特に何もなく過ごしていたため、もはやあの一件は夢だったのではと思う程には恐怖心が薄れてきた頃。β国との戦争なり、いよいよ終盤と差し掛かっていた。

ut「いやぁ。意外と向こうの兵器が厄介やったなぁ。こっちもちょっと消耗したし」

カタカタとパソコンを操作しながら大きな独り言を呟く。

rbr「そうやな。でもあとちょっとで押し切れるからな。最後までガバるなよな？」

ロボロも隣でモニターの光を浴びながらカタカタとパソコンを操作する。

ut「お。A、あとそこにおる奴で最後やわ」

大先生はインカムで通達する。

『りょーかい』

最前線にいるハズのAだが、間延びした声で返答する。
ゆっくりとAは辺りを警戒しながら歩みを進める。

『シャオロン、添加物ちゃん。ここら辺に最後の兵器がいるらしいから、気をつけてな』

後ろにいる2人に声をかける。
β国は人体実験を行なっており、今回その実験によって創り出された人体兵器が投入され、予想以上に向こう側の戦力が上がっていたのだ。しかしその人体兵器も残り1体。それを壊しさえすればこちらの勝利となる。

ドゴォン……。

突然目の前に大きな音を立てながら、着地する何か。砂埃の中から小さな影がゆっくりとこちらへ向かってくる。
その影は小さな男の子だった。

sha「お出ましやな」

ナイフを握り直しながら呟くシャオロン。
少年はその体に対しては大きなナイフを持っており、子どもらしからぬ雰囲気を纏っている。

ak「子どもの姿なんて……」

β国の人体兵器とは、子どもであった。その戦闘能力はさることながら、見た目が子どもという事もあり、こちらが一瞬躊躇うとその隙を突いてくるという卑劣な策だった。
シャオロン、添加物は相手が子どもであるため、踏ん切りが付かず、ジリジリと間を詰め寄るしか出来ない。
一方Aは相手を見ると、手持ちの武器をナイフから拳銃へと持ち変え、少年へと一歩また一歩と近づいていく。