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『どっちだよ。……どうしたの?』
んふふ、と笑いながらツッコミを入れた勝利が、もう一度優しく尋ねてくれる。早くしないと、日付が変わってしまう。
「あの、今日誕生日って聞いて」
『え? ……あ、聡くんか』
「そうです。さっき教えてもらって。……勝利、お誕生日おめでとうございます」
小さく深呼吸してはっきりと口に出すと、電話の向こうの勝利が『……ありがとう』と小さく呟いた。
「プレゼントとか何も用意してないんですけど」
『プレゼント? いいよ別に。ていうか、言ってなかったし』
「いや! いつも勝利にお世話になってるので! ていっても、私が買えるものなんて勝利なら自分で買えちゃうと思うんですけど」
『そんなこと無いでしょ』
「そんなことあります。物じゃなくても、なんでも! 何かプレゼントします!」
『何でも』
「プレゼント考えとくので、……お仕事頑張ってください」
『うん。ありがとう』
結局、大したことは言えなかった。やっぱりメッセージで送った方が良かったかもしれない。
『……ずっと家のこととチャイのこと任せっぱなしでごめんね』
「いえ、大丈夫です。チャイちゃん元気ですよ」
『そっか。良かった』
「勝利に会えなくて寂しそうですけどね」
笑いながらそう伝えると、電話の向こうの勝利が『うっ』と唸った。愛犬に構ってあげられない罪悪感があるのだろう。
『明日で落ち着くから、来月からは「勝利! 勝利ー! ケーキ食べるよ!」』
勝利の声に被せるように聞こえてきた男の人の声。電話口から『フゥッ! ケーキ!』『いよっバースデーボーイ!』『勝利も24歳か……でっかくなって! うぅっ! ひっくひっく』『ケーキ食べて明日も頑張るYO! 明日はハロウィンだYO! なーなー仮装の服俺買ってくるからさぁ!!』『ちょ、うるさいうるさい!』など、陽気過ぎる声が流れている。
『……ごめん、呼ばれたから』
「あ、はい。おやすみなさい」
『おやすみ』
プツ、と電話が切れる。途端に静かになったリビングに、チャイちゃんの足音が響いた。
……めちゃくちゃ賑やかだったな。聡くんも同じ場所にいるようだったし、お友達と誕生日パーティーでもしているのだろうか。勝利のお友達のテンションすごいな。
時計を見ると、いつの間にか日付が変わっていた。あの様子だと、今夜も勝利の帰りは遅いだろう。
でも、声が聴けて良かった。勝利へのプレゼント、何にしようか。
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ハル(プロフ) - あかねこさん» ありがとうございます(*'▽'*)読んでくださるの嬉しいです!頑張ります〜( ´ ▽ ` )ノ (2021年1月4日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
あかねこ - あ〜〜続きが気になりすぎる!更新頑張って下さい!待ってます。絶対読みます〜♪ (2020年12月29日 11時) (レス) id: 14cacb4dbc (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 駿さん» なんて嬉しいお言葉……!ありがとうございます(*'▽'*)これからもきゅんをお届け出来るように頑張ります( ´ ▽ ` )ノ (2020年12月28日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
駿(プロフ) - セクゾの小説でこんなにきゅんきゅんしたの初めてです(;_;)更新楽しみにしてます! (2020年12月28日 17時) (レス) id: c2f4c5f056 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 真緒さん» コメントありがとうございます(*'▽'*)好きと言っていただけるのとても嬉しいです…!これからも楽しんでもらえるよう頑張ります! (2020年12月18日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
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