一分間の恋人。＊桃＊

十一分間。＋30円 ページ11

今日も百瀬さんへ電話をかける。

なんだかこの時間が待ち遠しくなってしまって、一時になるまでずっと時計を見てた。
だからこの時間になったことが嬉しくてたまらない。

昨日、映姫に遮られちゃったから、あんまりお話できなかったな。

まあ悪気は無かったことだし、許してあげよう。



無機質なコール音が聞こえてきて少し身構える。



『＿＿＿もしもし』

「もしもし、Aです、百瀬さんですか？」

『はい！こんにちは！』


百瀬さんの元気な声。聞くだけでこちらも元気が湧いてくる。


『俺、Aさんのこともっと知りたくて、たくさん質問していいですか？』

「はい、大丈夫ですよ。」


私のことが知りたいなんて、初めて言われた。

どんな事聞かれるのかな。
少しワクワクする。


『えー、とー、、、、あじゃあ！好きな食べ物は何ですか？』


あ、そんな普通の質問なんだ。
ちょっと安心したかも。


「んー、、、チーズ…いや、じゃがいも…卵、です」

『いっぱい好きなんですね』

「はい、入院する前から好きだったんです」


なんか食いしん坊みたいになってる。
欲張りっていうか。


「じゃあ、さとみさんは何が好きなんですか？」

『俺はハンバーグが好きです！』

「おお…」


どう反応したらいいのか分かんなかった。
微妙って思われちゃったかなぁ。

というか、百瀬さん可愛くて少し口元が緩む。


『Aさんは、好きな場所とかありますか？あの、デートスポットみたいな…』


百瀬さんの声がだんだん小さくなっていった。

デートスポット的な場所をあまり知らないからなぁ。
でも、行きたい場所と言ったら…


「お家デートとか、してみたいです。」

『そうなんですか…！！』


やっぱちゃんとした場所言った方が良かったかな。

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