一分間の恋人。＊桃＊

十三分間。＋40円 ページ13

『俺、Aさんが退院したらして欲しいことがあって…』

「なんですか？」

『耳にピアス、あけて欲しくて…駄目ですか？』


ピアス…か。
実は少し怖い。だって人の身体に風穴あけるんだよ！？
そのまま56しそうだわ…

まあでも、百瀬さんがそういうならいいのかな。


「分かりました。怖いけどやってみます。ただ、退院したら連絡できるか分かりません」


少しだけ保険をかけておく。
私が退院しても、百瀬さんに連絡するかは分からない。

正直なところ、する予定ではあるが、何があるか分からない。
もし…百瀬さんを悲しませる結果になったら…

…。

そんなこと、考えたくもない。


『例えAさんが俺に連絡しなくても、俺はAさんを待ち続けますから』

「っ!!…あっありがとうございます」


なんだろ、嬉しいような、照れくさいような、変な感じがする。

彼と話をすることは心地よい。
そんなことを思わせてくれる。きっと彼は、特別な人。


「じゃあ、私が覚えていたら私にもピアスあけてください」

『そんなの大大大歓迎です！Aさんに触れられるとかもう…!!!』

「そんな、大袈裟ですよ」


…少しおかしいところもあるけれど、彼は良い人に違いないのだ。

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