こい恋来い (ページ2)

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47◆つかない二文字◆ ページ2

夏休みも終盤…

相変わらず部活と合宿三昧で

たまに休みになっても

お金を貯めたくて

モデルのバイトを入れてもらった

今年の誕生日プレゼントに

良い物あげたい！って一心で

だけど正直、今年の夏はA不足…

部活が終わってから

雅紀に付き合ってもらって

プレゼントを買いに行った

「ねぇ、松潤！今年は何をあげるの？」

『ナイショ～。だってお前、ポロっと言っちゃいそうだし』

雅紀が自分の服を物色してる間に支払いを済ませて店を出た

「それにしてもさ…今年は夏祭り行けそうにないね」

『そうだな～、お前は三浦に話したの？』

「うん、しょうがないね～って。だから毎日メールはしてるよ！」

『幸せそうで何よりです』

「Aちゃんは納得した？」

『まぁ、一応。バスケ頑張ってね！って言ってくれたし』

夏祭り…一度も欠かさず行ってたのに

こればかりは、しょうがないんだけど…

そして、しょうがないって事が

もうひとつ起こった訳で…

事前に翔パパにメールを送って

外出許可をもらった

合宿で誕生日のお祝いできないって正直に伝えたら

あっさり許してくれて、迎えに行った玄関先

「お前はなんでもA中心だな」

『俺の中心がA意外はあり得ないので』

って言ったら、すっごく笑った後に“よろしく”って

それから、二人で歩いて海に向かった

どうやって切り出そうか悩んでたら

Aから話題を振られて

その流れで伝える事にした

「どうして海なの？」

『あぁ、明日、誕生日でしょ？プレゼント渡そうと思って…』

「なんで、明日くれないの？」

『合宿が入ったんだ…』

「合宿…じゃぁしょうがないね。頑張ってね！プレゼントありがとう！」

『それでね、その…真ん中バースデーも来れないんだ』

「えっ…」

『31日までの合宿をもっと早くからしようって決まって…だから、明日から合宿なんだ』

「…」

『ごめん…でも、俺が居なくても誕生日会はするっていってたからさ』

「別に…潤が悪いわけじゃないんだから、謝らないでよ…よし、帰ろう！宿題しなきゃ！」

初めてだった

二人の時はいつも並んで歩くのに

家に着くまでAが俺の前を歩いてて

しかも一度も振り返らなかった

やっと目があったのは

家に入る直前で、特に会話もなく別れた

日付が変わった瞬間に送ったメッセージは

JUN誕生日おめでとう。素敵な17歳にしてね。

“既読”の文字がつかなくて

翌日、合宿所に向かうバスの中でも

その二文字がつくことはなかった