【REBORN】もしも。2【獄寺隼人成り代わり】 (ページ8)

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五十三話ページ8

とある一室

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「……以上です。球技大会では特に問題は起きませんでした」

草壁が今日の出来事を報告すると、部屋の奥に座り書類を確認している少年はピタリと動きを止めた。

少年はそのまま顔を上げずに問う。

「球技大会“では”？」

“では”という部分を強調し質問しつつ、殺気まで飛ばしてくる少年に、草壁は冷や汗をかく。

「…球技大会中、並中に見学に来ていた明日転入予定の獄寺Aと風紀委員の中川が揉めました」

「ふぅん、それで？」

殺気が強くなる。

並盛を愛するこの少年は、並中校内で問題が起きるのを嫌う。
問題を解決しようとするのはいいのだが、暴力によって解決しようとするため、怪我人があとを絶たない。
わざわざ探すことはないだろうが、恐らく今回問題を起こした中川と転入生も、見つかったら少年に咬み殺されるに違いない。

心の中で手を合わせた草壁は、それでも報告を続ける。

「自分が仲裁にはいり事なきをえました」

あの時。

中川を睨みつけていた長髪の生徒。

草壁が声をかけ、それに気づいたあの生徒は自己紹介をした。

『はい。明日からこの学校に通う獄寺Aといいます』

そう言った時、あの生徒から一瞬殺気が溢れ出だ。

ほんの一瞬ではあったものの、中川は顔を青くして足を震えさせていた。

“自分は転校生で今日見学すると連絡していたはずなのにどうして絡まれているんですか”

とこちらに訴えてきたようだが、そんなことより恐怖が勝った。

今自分に殺気を向けている少年とはまた違うあの生徒の殺気。

自分は少年の殺気でなれているが、中川にはきついものだっただろう。

自分も動揺してしまった。

黙りこむ草壁を気にも止めず、少年は書類を捲る。

捲ったページは、一人の生徒の転入届。

「獄寺Aね…。やっぱり違うんだ」

その呟きの意味は、この少年にしか分からない。

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