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十、 ページ10

蝉がこれでもかと鳴く、山奥。
意味もなくふらふらと歩いていると、いつの間にかここにいた。
しまった、ここは何処だろうか。
確か、昼餉を食べて、少し万屋に行くと告げて、それから___


目の前を見たが、周りは青い木々ばかりだった。
……本当に、どうしてここにいるんだろう、私。
とりあえず、山の中だ。ゆっくりと下に向かって、そこから本丸に帰ろう。
皆が待っている。
厚も、鶴丸も、薬研も、一期も……



「……いちご?」
「主殿!探しましたよ、後藤から『主がいない』と聞きまして……探し回りました」
「あ、一期、そ、っか。心配、かけたね」



思わず目をそらす。
あまりにも、あまりにも似ていたから。
一振り目の、一期に。
ごくりと唾を飲んで、一期が差し出してくれた手に手を伸ばした。


……幻想だった。


顔が額の右上から左頬にかけて、斜めにずっぱりと切れた。
そこから黒い煙がぼふりと溢れ出して、そこら中に飛散していく。
驚いて固まると、一期の後ろには一期がいた。



「……主に指一本触れないでいただきたい」

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設定タグ:刀剣乱舞 , 一期一振 , ひな丸   
作品ジャンル:その他
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作者名:ひな丸 | 作成日時:2016年6月6日 22時

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