今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:3,037 hit
小|中|大
十、 ページ10
蝉がこれでもかと鳴く、山奥。
意味もなくふらふらと歩いていると、いつの間にかここにいた。
しまった、ここは何処だろうか。
確か、昼餉を食べて、少し万屋に行くと告げて、それから___
目の前を見たが、周りは青い木々ばかりだった。
……本当に、どうしてここにいるんだろう、私。
とりあえず、山の中だ。ゆっくりと下に向かって、そこから本丸に帰ろう。
皆が待っている。
厚も、鶴丸も、薬研も、一期も……
「……いちご?」
「主殿!探しましたよ、後藤から『主がいない』と聞きまして……探し回りました」
「あ、一期、そ、っか。心配、かけたね」
思わず目をそらす。
あまりにも、あまりにも似ていたから。
一振り目の、一期に。
ごくりと唾を飲んで、一期が差し出してくれた手に手を伸ばした。
……幻想だった。
顔が額の右上から左頬にかけて、斜めにずっぱりと切れた。
そこから黒い煙がぼふりと溢れ出して、そこら中に飛散していく。
驚いて固まると、一期の後ろには一期がいた。
「……主に指一本触れないでいただきたい」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひな丸 | 作成日時:2016年6月6日 22時