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「あ、あの!!」
「えっ?」
放課後、私は帰り道を歩いている及川さんを全力で捕まえた。
またか、という表情の奥に、微かに別の感情が見えた気がする。それが何かは分からない。
ただ表面上は本当にびっくりしている。
「あの、聞いてもらっても、いいですか」
「え、うう、うん」
「私、及川さんが好きなんです」
「!?」
更に顔をひきつらせる及川さん。マジでびっくりしている。
しかし私は気にせずに言葉を吐いた。
「この1年間、ずっとずっと貴方のことが好きなんです。それこそ考えない日がないくらい。でも貴方は東京に行くって言うじゃないですか。……どうして、どうしてなんですか」
「……」
「フラれる覚悟で言ったんで、好きに言ってください、好きでも嫌いでも、言いたかっただけなので」
ばあっ、と全部言い切った。
一息だったせいか、肺が酸素を求めるように激しく息を吸う。
汗もだらだらだ。
及川さんはこんな状況、あったことはあるのだろうか。
もしかしたらあるかもしれない。
いきなり後輩にしか思ってない女子に、想いを吐かれたら。
フラれるに決まってる。そう思って固く目を閉じた。
「……俺は、君のこと嫌いじゃないよ」
「!」
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作者名:ひな丸 | 作成日時:2016年4月29日 0時