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#41 ページ8

美門side

ここまでは計画通り。


そして、小塚先生の出番だ。


「みんなはね、君がどっちをとってもいいって言ってるんだけど、
僕はそうは思わない。取引に応じてほしい。」


「・・・へぇ、仲間割れ?なんで?」


「だって、君だってアーヤが好きなんだから。
ずっと追いかけている人に、好きな人に嫌われるなんて、辛過ぎるよ。
僕は、アーヤに嫌われたって思って、すごく辛かった。
たとえどんな人でも、もう、そんな思いをする人は出したくないんだ。」


涼川は、グッと言葉をつまらせ、今までのような余裕がなくなった様に見えた。



流石は小塚先生。



小塚の優しさは、ストレートで、矢のように胸に刺さる。


今回は計画の内だが、今までにも、小塚特有のその優しさでKZ存続の危機を逃れてきた。


小塚の優しさ、癒やし能力には、俺を含めた他のメンバーでは敵わない。


まさに、今回の役どころは、適材適所だったというわけだ。


そして、ここからが俺の出番だ。


「・・・小塚の言うとおりだよ。だって、お前が1番見てきたでしょ?
他のメンバーは、アーヤとの関わりがほぼなかったけど、俺とお前は毎日、アーヤと関わってる。
これから、あと1年以上は、それが続くんだよ?
アーヤの俺に対しての接し方、お前が1番近くで見てきたじゃん。」


「・・・。」


「もし取引に応じなかったら、立場が逆転する。
いや、それ以上かも。アーヤは正義感が人1倍強いからね。
それに、今のアーヤは世界でもトップクラスの財閥の跡取り。
そういう人とは、はっきりけじめを付けると思うけど。」


涼川は、俺達を見つめながら黙り込んだ。



・・・ま、涼川がどの選択をしても不利なんだけどね。


さっきから一言も喋っていない七鬼がその理由。


七鬼の着ているジャケットに、小型の録音機能付きカメラが仕込まれていて、


取引した場合の保証となるし、俺達を囲んでいるヤクザが襲いかかってきたときは、


集団暴行の証拠となる。


つまり、涼川はここに来た時点で、俺達の勝利なのだ。


しばらくして、涼川が口を開いた。


「まあ、悪くはない取引だけど、知っている通り、僕は社長。
つまり、どんな場合でも、自分に1番メリットのある道を選びたいんだ。」


涼川が静かに笑った。


「だから、この取引よりも、僕にメリットのある選択をするよ。」


そう言うと同時に、涼川がパチンと指を鳴らした。


その瞬間、俺達を囲んでいたヤクザが、俺達に襲いかかった。

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むっちゃん - 最後の方は涙が出そうなほど感動しました!! (2021年11月26日 0時) (レス) @page26 id: fa31dfe0b6 (このIDを非表示/違反報告)
リン - 完結おめでとう!!!!面白かったよ! (2021年11月7日 16時) (レス) @page26 id: a6b1297b7c (このIDを非表示/違反報告)
西浦香淋(プロフ) - とても面白いですね。 (2020年5月27日 20時) (レス) id: c350fd39bf (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - お知らせ、悲しいけど、かんけつ、おめでとうございます。ほかの作品も、読んでみますね・・・。 (2020年5月26日 15時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
ラプンツェル - 完結おめでとうございます。楽しみに読ませていただいておりました!ここまでお疲れ様でした! (2019年9月26日 14時) (レス) id: 9f8b861307 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りぃな | 作成日時:2019年9月1日 20時

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