＃３９ ページ6
美門ｓｉｄｅ
午後９時を回った。
涼川は未だに現れない。でも、匂いはする。
「・・・来るよな？」
「さあね。」
１０分も過ぎれば、若武が苛立ち始めた。
けれど、俺には若武をなだめている余裕はない。
先程から、前に嗅いだことのある匂いが十数類、すぐ近くからする。
俺はどこで嗅いだのか、思い出すのに必死だった。
ガサッと、葉の揺れる音がする。
「・・・！思い出した。」
「は？」
ポツリと呟いた俺の言葉に、全員が眉をひそめた。
「気をつけろ。前に襲ってきた奴らがここにいる。」
「「！！！」」
その時だった。
クスクスという笑い声とともに、涼川 怜和が姿を現した。
「やっと気がついたんだ？そんな警戒しないでよ、こいつらはただのボディーガードだから。」
ボディーガード？
見るからに、金で人を動かし、金で動くような、どっかのヤクザだろ。
それにだ。
ただ話に来ただけなら、ボディーガードなんていらない。
つまり、ただ話をしに来たわけではないってことだ。
「・・・俺らは、できるだけ平和に話したいんだけど。」
黒木が呆れたように、涼川を見つめる。
「僕もだよ？でも一応ね。何かあった時、君達６人に対して、僕一人は多勢に無勢でしょ。」
それは今の俺らの状況も同じなんだけど。
「それで、何を話したいの？」
涼川はベンチに座り、さも自分が主導権を握っているかのように、足を組んだ。
「アーヤのことと、お前のこれからのことだ。」
「・・・彩ちゃんの話は予想してたけど、僕のこれから？
何？脅してきたと思えば、今度は親気取りで説教でもするつもり？」
その強気な姿勢に、いつかの砂原と重なって見える。
何なんだろうね。
不幸な過去を持った、社長ってみんなこんなんなのか？
呆れて話をする気になれないという風に目を回す涼川に、黒木が笑いかける。
「まぁまぁ。聞き流したって構わないから、とりあえず、聞けよ。」
「・・・・いいけど。聞き流すの前提だからね。」
俺達は目を合わせて、気を引き締める。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ここからが本番だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「探偵チームKZ事件ノート」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むっちゃん - 最後の方は涙が出そうなほど感動しました！！ (2021年11月26日 0時) (
レス) @page26 id: fa31dfe0b6 (このIDを非表示/違反報告)
リン - 完結おめでとう！！！！面白かったよ！ (2021年11月7日 16時) (レス) @page26 id: a6b1297b7c (このIDを非表示/違反報告)
西浦香淋(プロフ) - とても面白いですね。 (2020年5月27日 20時) (レス) id: c350fd39bf (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - お知らせ、悲しいけど、かんけつ、おめでとうございます。ほかの作品も、読んでみますね・・・。 (2020年5月26日 15時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
ラプンツェル - 完結おめでとうございます。楽しみに読ませていただいておりました！ここまでお疲れ様でした！ (2019年9月26日 14時) (レス) id: 9f8b861307 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りぃな | 作成日時：2019年9月1日 20時
