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#54 ページ22

美門side

「・・・聞かせてもらえる?」


『もちろん。』


アーヤはにっこりと笑い、紅茶を一口飲んだ。


そして。


『・・・ただの強がり、だよ。』


「・・・え?」


唐突なその一言に、思わず声が漏れた。


確かに、アーヤは昔から強がりなところがあったが、それとこれがどう関係しているのか


全く分からない。


『あの頃ね、すでに桜宮家に戻ってほしいっていう話が出てたの。
でもさ、振り返ってみれば、私、事件の調査でも個人的なことでも、
いつもみんなに助けてもらってばかりだった。
それがね、、、、不安だったの。』


『お父様とお母様が8年も前から、私に財閥を継がせようと、留学とかの準備をしてくれていた。
当時からずっとお世話をしてくれている執事さんが、両親の死後も、
二人の意思を受け継いで準備をしてくれていた。
だから、桜宮家に戻るという話を、私には断ることができなかった。断りたくなかったの。』


『でも、幼い頃だって、両親や執事さんに助けられ、当時はみんなに助けられて、
助けられてばかりの人生を歩んできて、
そんな私に、お父様が人生を捧げた財閥を継ぐことができるのか、自信がなくて、怖かった。』


アーヤはそこまで言って、一息ついた。


だが、その手は震えていた。


『そんなとき、いじめが始まって、、、、すごく悔しかった。
だって、放課後に呼び出されたって、行かなければいい話だし、
脅されても屈しなければきっと、彼女たちはつまらなくなって、諦めたはずだから。』


『それなのに抵抗できずに、言いなりになってた。
そんな自分が悔しくて、自分の弱さを思い知ったの。
でも、その弱さを認めたくなくて、強がった。』


『私も誰かを、みんなを守れるんだって。
それを証明して、自分の弱さを否定する理由にしたかったんだと思う。
あと、桜宮財閥を継ぐ人間としての自信も。』


彼女はまた、一口、紅茶を口に含み、自嘲的な笑みで言った。


『ほらね?ただの強がり。
つまりは、私の見栄と自己満足。自分の弱さを否定したかっただけでしょ?』

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むっちゃん - 最後の方は涙が出そうなほど感動しました!! (2021年11月26日 0時) (レス) @page26 id: fa31dfe0b6 (このIDを非表示/違反報告)
リン - 完結おめでとう!!!!面白かったよ! (2021年11月7日 16時) (レス) @page26 id: a6b1297b7c (このIDを非表示/違反報告)
西浦香淋(プロフ) - とても面白いですね。 (2020年5月27日 20時) (レス) id: c350fd39bf (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - お知らせ、悲しいけど、かんけつ、おめでとうございます。ほかの作品も、読んでみますね・・・。 (2020年5月26日 15時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
ラプンツェル - 完結おめでとうございます。楽しみに読ませていただいておりました!ここまでお疲れ様でした! (2019年9月26日 14時) (レス) id: 9f8b861307 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りぃな | 作成日時:2019年9月1日 20時

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