過去と、秘密と、闇と、光と。 -２nd -

＃５１ ページ19

美門ｓｉｄｅ

「・・・どうする？」


アーヤの部屋の前で、俺達は緊急会議を開いている。


「どうするも何も、聞きたいこと聞けばいいんだろ？」


・・・天然の七鬼には、緊急会議の意味がわかっていないようだが。


「七鬼、今ここで、アーヤに何を質問するか決めておいたほうが、
話がスムーズに進むだろ？」


「それと、涼川怜和と森田美優の話をどうするか。」


「なるほど。」


涼川怜和が森田美優を送り込んできた話については、


昨日も塾の休み時間に話し合ったのだが、時間オーバーで結論が出せなかった。


「昨日も言ったが、俺はアーヤにも言うべきだと思う！
今まで散々やられて、まだやられっぱなしのままなんだ！！
それくらいの罰は受けさせてもいいだろ。」


若武が悔しそうに言う。


「僕は反対。だって、涼川はちゃんと反省して、アーヤや僕らに言われる前に、
自分から自首をしたんだよ？自分の会社までを危険にさらして。
それってすごく勇気のいる正しいことだし、
アーヤはそんな涼川を見て、僕らと話し合おうって思ったんだから。それで十分だと思う。」


KZに入って以来、まだ２度目の、若武vs小塚という、珍しい構図だ。



感情的な俺の意見だったら、若武に賛成なんだけど、
きっと、小塚の意見の方が、俺らのためにも、アーヤのためにも良いと思う。
もちろん、涼川のためにもね。



正しいかどうかと言ったら、きっと、両者とも正しいのだろう。


「俺は若武の意見を支持しようかな。」


そう言ったのは、意外にも黒木だった。


「やっと仲直りできそうなんだから、アーヤに隠し事はまずいと思うし。」


黒木という人物を知らない人から見れば、本当にそう思っているように見えるだろう。


でも。


「・・・黒木。本気か？」


上杉の低い声に、黒木が上杉を数秒見つめ、やがて、降参したように肩をすくめた。


「・・・わかったよ。悪かった。感情的になりすぎた。
悪いね、若武センセ。小塚先生の意見を支持することにするよ。」


「俺も。感情的な意見だと若武に賛成するところだけど、
この先のことも考えると、小塚の意見を賛成せざるを得ない。」


「右に同じ。」


黒きに続いて、俺、上杉が小塚の意見を支持し、残るは七鬼だが、


KZは多数決。この時点で、小塚先生の勝ちだ。


「俺はどっちでもいい。涼川なんてどうでもいいし。アーヤを取り戻せればそれでいい。」


俺らはニヤッと笑い、小塚は照れくさそうにはにかむ。


「・・・ちっ、わーったよ！！森田美優の件はなしだ！！」

＃５２→←＃５０

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す