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#44 ページ12

美門side

『あなたが、、、、あなたが、お父様を殺したの?』


アーヤは震える声で、そう問いた。



アーヤの、お父さんを殺した・・・?



想定外の展開に頭が追いつかない。


涼川は、少しだまり、やがて口を開いた。


「ねぇ、彩ちゃん。僕達の婚約のこと、知ってる?」


アーヤはゆっくりと頷く。


『この間、お父様の日記を見つけて、それで知った。でも、もう破棄されてるんでしょう?』


「いや。されていないんだ。みんな破棄されたと思ってるけどね、
本当は違う。今もその婚約は生きてるんだよ?・・・書類上でね。」



書類上?
アーヤのお父さんは、破棄したんじゃないのか?



『どういうこと?』


涼川は、少し怯えてアーヤを見る。


「僕ね、親と呼べるものが、愛してくれる人がいなかったんだ。
今も昔も、生まれたときからね。・・・・彩ちゃん以外。」


『わ、、、たし・・・?』


涼川は頷く。


「そうだよ。僕、彩ちゃんに本当に救われたの。
だって、母親は不倫ばっかで、僕のことなんて赤の他人扱い。いない設定にされて、
父さんは仕事しか頭になくて、僕の事は使用人に押し付けてた。」


でもね、と涼川は続ける。


「彩ちゃんがいてくれたから、僕を好きって言ってくれたから、
僕は今もこうして、生きてるんだ。彩ちゃんがいなかったら、とっくにジサツしてる。
だから、、、、だから、何があっても、彩ちゃんには嫌われたくないんだ。」


涼川の目には、涙が光る。


「・・・・失いたくない。」


俺は涙をこぼす涼川を見て、思った。


本当にアーヤのことが好きなんだな、と。


その想いはきっと、悔しいけど、俺達の比にならない。


「でもね、さっきの彩ちゃんの質問。嘘は付きたくないから、本当のことを言ったら、
彩ちゃんが僕を嫌いになっちゃう。」


アーヤが涼川を見つめ、迷いを見せる。


しばらくの沈黙。


そして。



『何があっても怜和くんのこと、嫌いになったりしない。_______なんて、約束はできない。
けど、私は真実を知りたいの。私には知る権利がある。
だから教えて。お父様に、何があったのか。』

#45→←作者より −次作品について−



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むっちゃん - 最後の方は涙が出そうなほど感動しました!! (2021年11月26日 0時) (レス) @page26 id: fa31dfe0b6 (このIDを非表示/違反報告)
リン - 完結おめでとう!!!!面白かったよ! (2021年11月7日 16時) (レス) @page26 id: a6b1297b7c (このIDを非表示/違反報告)
西浦香淋(プロフ) - とても面白いですね。 (2020年5月27日 20時) (レス) id: c350fd39bf (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - お知らせ、悲しいけど、かんけつ、おめでとうございます。ほかの作品も、読んでみますね・・・。 (2020年5月26日 15時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
ラプンツェル - 完結おめでとうございます。楽しみに読ませていただいておりました!ここまでお疲れ様でした! (2019年9月26日 14時) (レス) id: 9f8b861307 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りぃな | 作成日時:2019年9月1日 20時

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