過去と、秘密と、闇と、光と。 -２nd -

＃３５ ページ2

彩ｓｉｄｅ

翼が包帯で登校してきた日から１ヶ月。


それはもはや日常と化していた。


「先輩？彩先輩は今、僕とお話してたんですけど。」


「知ってるよ？でも、俺も桜宮さんとお話したいの。」


お互い、にこりと笑いながら火花を散らす、涼川くんと翼。


その板挟みにされてる私。


今までは私と涼川くんが話していても、こちらを見ているだけだったのだが、


翼に生徒会を休ませた翌日から、


いきなり割って入ってくるようになり、涼川くんも負けじと対抗する。


学園では、すっかり、翼と涼川くんが私を取り合っている、なんて


とてつもなく迷惑な噂が流れてしまった。


『・・・２人とも。話があるなら、後でちゃんと聞くから。
だから、そこ、どいてくれる！？』


私の手には１０冊以上の分厚い本の山。


やっとの思いで図書室の扉を開けたのに、私の目の前で言い合いをしている。


「「ごめん／ね。」」



やっと開放された・・・。



私は未だに睨み合っている２人から、逃げるようにその場をあとにした。



今日は久しぶりに、なぎなたのお稽古があるんだ。
よくわからないケンカに巻き込まれた、なんて理由で遅れたくない！



大会のため、全国を飛び回っていた師範が、久しぶりにこの街に落ち着くことになり、


今日は、手合わせをする約束をしている。


私は２人に追いつかれる前に、迎えの車に乗り込んだ。

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