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『あ、降谷!資料わざわざありがとう』
「いえ」
ゼロに戻り、Aさんに資料を手渡す。
『降谷』
「はい?」
『今度政府にCIAとMI6との合同捜査の許可を要請しようと思う』
「CIAはスパイとしても何人か潜入してますし、MI6はイギリスの情報機関ですよね?組織の被害は各国に広がっていますし、日本政府も許可してくれると思いますよ」
『だよね!.......そろそろ本格的に組織壊滅の計画を開始していくつもり。』
「この間の一斉逮捕の件もありますしね。組織は警戒をしていると思います。」
『そうだね。お互い慎重に動こう?』
「了解」
僕は自分のデスクに戻って溜まりに溜まった書類の片付けを始めた。
「ここにいたのかA。入れ違いだったかな?」
「.......赤井」
『赤井?』
ドアから顔を覗かせてやってきたのは数十分前に出会った赤井秀一だった。
ずけずけとお構い無しにゼロに侵入してくる赤井を睨みつけると、勝ち誇った笑みを向けられ腹が立つ。
何してくれてるんだ赤井秀一。
さっさとゼロから出ていけ。なんなら僕の日本から出でいけ。
『どうかしたの?』
「あぁ、今夜のディナーに誘いに来た」
『今夜?あー、たぶん大丈夫そう。暫く徹夜してたから今日は帰ろうと思ってたし』
「ならしっかり休んだ方がよろしいのでは?貴重な時間を割かなくてもいいと思います!」
「なんだい降谷君?降谷君も一緒に来るか?」
「お断りします!!!貴方と一緒なんて耐えられません!」
『まあまあ、』
少し困った表情をして立ち上がったAさんが僕と赤井との間に入る。
『降谷もありがとう。確かに徹夜続きだから休んだ方がいいのはわかってるけど、今から本格的に忙しくなるし赤井はアメリカに帰っちゃうでしょ?だから今の時間を大切にしたいな〜って!』
どちらも傷つけない、Aさんらしい返事が返ってくる。
僕が複雑そうな顔をしていたのだろうか、付け加えて
『ホラ、明日遅く出る予定だし!ね?』
「......ちゃんと寝てくださいね?」
『ありがとう、降谷』
ちゃんと寝てください、と言う言葉の意味はわかってくれているのだろうか。
赤井にホテルやらなんやらに連れ込まれるなよ、と言う意味だったが。
なんか僕、関係ないのに突っかかって娘に彼氏でもできたような父親みたいじゃないか?と、自分で言って恥ずかしくなる。
「夜に迎えにくる」
勝ち誇った笑みを浮かべ、赤井は出ていった。
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夜空 -Night Sky-(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!続き楽しみにしてます! (2020年6月8日 10時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 108話に誤字がありました。「芋ずる式」ではなく、「芋づる式」です。 (2019年8月3日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コハル | 作成日時:2019年7月13日 20時