（忍たま現パロ）大川学園スパイ部 (ページ8)

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僕らのお仕事の段　後編ページ8

不審者に悟られないように慎重に、しかし迅速に陣形を組む

『藤宮会長、』

来ました。辰巳が無線で藤宮会長に知らせる。会長の顔がサッと青ざめた

『大丈夫です。僕達が必ずお守り致します』

乱太郎が小さく付け加えた。力強い声だった

『藤宮会長は普段通りに振る舞っていてください。あとは我々にお任せを』

翔真の凛とした声が無線から響く。それは、会場班全員の準備が整った合図でもあった

さぁ、どこからでもかかってこい
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きらびやかなパーティー会場に、似合わぬ影が一つ。みすぼらしいスーツの上に煤けたようなトレンチコートを着込んだ、地味な印象の中年男性

その男は暗い目つきをして、会場内を隅々まで見渡していた

どこだ。どこだ

ふらふらとさ迷っていた男の目線は、会場のある一点を見つめて、はたと止まった

見つけた

ポケットから取り出した顔写真と見比べる。目尻の垂れた顔つき。穏やかな微笑み

あいつだ

あいつを、殺す
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『黒木から各会場班へ。目標接近。トレンチコートを着込んだ痩せ型の四十代前後の男性。各々油断するな』

「「「了解」」」

この任務も遂に大詰めか。誰もがそう考えていた。会場班の視線は迷うことなく、トレンチコートの男に向けられる。気づくか気づかないかのギリギリのラインを保ちながら

男が遂に藤宮会長の背後に立った。そのままじりじりと近づき、懐からナイフを取り出す。そしてその尖った刃を……

と、突如スポットライトが男の上に降ってきた

「ご来場の皆様！宴もたけなわ。ここで我々が一つ、このボックスを使ったマジックをご覧に入れましょう！」

男のすぐ前、ステージの上に２人のマジシャン達が立っていた。一人はタキシードを着た遊平。もう一人はかわいらしいピンクのドレスを着込んで女装した治

男は呆気にとられて藤宮会長から注意を逸らしてしまった。それがいけなかった

男の首にたくましい腕がかかり、後ろから体全体で押さえつけられる。そして、口にタオルらしきものが当てられた。ツンとした匂いが広がり、男はそのまま意識を手放した。ほんの１秒にも満たない出来事だったのに、男にはそれが永遠にも感じられた

ダラリと力無く垂れ下がった男の手からナイフがこぼれ落ちる。カシャンと軽い音を立てたそれはしかし、華麗なマジックに魅了された会場内の人々には全く気づかれず

男の凶刃は、砕かれたのだった