僕らのお仕事の段 前編 ページ5
ガラガラ……
「お前達、うるさいぞ。廊下まで声が響いてる」
「「あ、翔真」」
おかえりー。三組全員の声がそろう
翔真は教室の真ん中で寝転ぶアホ二匹(しかも頭にデカいたんこぶ付き)と明らかにへこんだ跡がある二つのタライ、周りを囲むその他のやつら、をちらりと見つめると、はぁ…と大きくため息をついた
「とりあえずみんな座って。知らせることがある」
「「「翔ちゃんったら相変わらず冷静ね!」」」
スルースキル測定不可能と言われる我らが学級委員長に、三組メンバーはただただそうツッコむことしかできなかった
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「………任務?」
「そう。しかも久しぶりの団体任務」
翔真が低いトーンで告げる。桐人が片眉を上げた
「ランクは?」
「A」
翔真の短い返事に教室が一気に冷えていった。みんなの顔に緊張が走る
「任務内容は?」
「簡単。藤宮グループの新社長就任記念パーティーの間、藤宮グループの会長の護衛するだけ」
「それだけか?それだけでA?」
大悟が不審そうに聞き返す。すると鈍いな、とでも言いたげに貴一が答えた
「護衛だけでAランクになるわけないし、だいたいそれだけならわざわざ俺達に依頼しないでSPに頼めばいいだろ。何か事情があるんだよ」
貴一の言葉に、翔真が自分の膝を見つめながら小さく頷く
「数日前、藤宮グループ会長宅に一通の手紙が届いた。中には《パーティーに参加するな。さもなくばお前を殺す》という脅迫文と青酸カリの瓶が同封されていた。事件になる前に何とか解決したいが、警察に通報すればいろいろ聞かれるだろうし、マスコミは大騒ぎするだろう。藤宮会長は犯人を逆上させたくなかった。それだから散々考えた挙げ句、僕らに依頼したのさ」
言い終えると、翔真は落としていた視線をスッと上げた
「良いかい、みんな。藤宮会長はこの案件が完全に闇に消えるのをお望みだ。………やるべきことは分かってるね?」
翔真が目線を上げた先、そこには、先程までののんきな中学生達の姿は無かった
そこにあったのは、彼らの裏の顔
腕利きのスパイ達の、顔
大川学園には、特進科と呼ばれる学科がある。全てが謎に包まれた彼らの正体は、ただひとつ
大川学園特進科、正式名称《機動・隠密人員育成学科》通称、スパイ部
彼らは表と裏、二つの世界を生きるスパイ達だった
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葵 - 団蔵の名前が違う! (2020年3月15日 10時) (レス) id: 6a4116cfed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩大福 | 作成日時:2014年1月3日 20時