（忍たま現パロ）大川学園スパイ部 (ページ11)

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騙されてたのはの段ページ11

辰巳の言葉にホテルマンは無理に微笑んだ。しかしやり損ねたその顔は、どちらかと言うと泣き顔に近かった

「お客様。大変失礼ですが、そのお話はお客様方の勘違いかと存じ上げます。大体、本当に毒が入っているかどうかなんて匂いで分かるわけ」

「さっきまであんなにうろたえてたのによくそんな事言えますね」

乱太郎が柔らかく微笑み、まっすぐホテルマンを見つめる

「そんなに言うならあなたが飲んでみてくださいよ。入ってないんでしょ？毒」

ホテルマンの顔色が、白を通り越して青くなった。ほら。と差し出された乱太郎のカップを恐ろしい形相で睨みつけている

「早くしなよ。それとも何、飲めないの？おかしいなぁ。毒なんて僕達の勘違いなんだろ？」

遊平が煽るように言う。それが引き金だった。突如、ホテルマンは奇声を上げながら乱太郎のカップを叩き落とすと、ギロリと藤宮会長の方を向いた

そして懐からナイフを取り出すと、止める間も無く呆気にとられた藤宮会長に振りかぶる

ナイフが空を切る音が高く、高く響いた

そして、

「なっ………」

ホテルマンが目を見開く。まるで、自分の目が信じられないとでも言うように。それもそのはず、彼が突き出したナイフは、彼の手ごと藤宮会長に受け止められていた

「おイタは感心しないな。君」

「お前、どうして……」

ホテルマンが掠れた声で呟く。すると藤宮会長はナイフを床に叩き落としながら似つかわしくない笑みを浮かべた

「まだ分からないんですか？察しが悪いなぁ」

突如砕けた口調になった藤宮会長。その声は先程までの威厳に満ちたものではなく、穏やかな少年のものだった

す、と顔に手をかける。そしてこめかみから一気に引き剥がした

老いた男のマスクの下、現れたのは聡明な顔立ちの少年だった。翔真だ

「なんで………？」

「藤宮会長はもうとっくに学園で保護しました。て言うか、最初から会長は僕だったんですけど」

翔真は平然とホテルマンに言ってのける

「でもなぁ翔真。こいつがいない時まで会長の演技するこたねぇだろ。面倒くせぇよ」

桐人が不満そうに言う。翔真は心外だとでも言いたげに言い返した

「どこで盗聴されてるか分からないだろ。それに、変装中はいついかなる時でもその人になりきらなきゃいけないんだ。鉢屋先輩直伝のやり方さ」

そーゆーもんかね、と桐人が黙ると翔真は改めてホテルマンに向き直った

「じゃあ、早速吐いてもらおうか。聞きたいことも色々あるし」