【文スト】 名探偵ノ恋事情 【江戸川乱歩】

恋事情 31 ページ35

ここは………何処？

つい先刻殴られた部分がズキズキと痛む。


そもそも先刻だなんて言っていいのだろうか、


そんなことを考えていると頭上で誰かの声がした。





「やあ、ようやく起きたんだね、」


『ここはどこ、貴方は一体誰。』



そう言って私は目の前男を睨みつける。





「僕を覚えていないのか、はぁ、これだから探偵社は嫌いなんだ、」



男はそう呟く。



「まぁ、君にとっては、そんな事どうでもいいんだろう。


しょうがない、今から君がどうなるか教えてあげよう。」


男はそう言い、近くにある鞄をあさり、中からナイフを取り出した。



『何をするつもり………』


自分の声が震えている。


「探偵社員なら、そのくらい分かるだろ、」


男は、少し口角を上げ、

持っていたナイフで私の足を刺した。







〜乱歩side〜


『じゃ、行ってきます。』


「Aちょっとまっ」



僕の声を遮るようにドアが閉まる。

急いでAを追いかけるが、そこにはもう居ない。




「Aが危ない、」




何か証拠が有る訳ではないが、

何故か気持ちが悪いほどにそう思う。



僕は探偵社に足を急がせた。

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