【文スト】 名探偵ノ恋事情 【江戸川乱歩】

恋事情 24 ページ28

嫉妬して貰うには、どうすればいいのか、

ナオミちゃん曰く、一番簡単なのは、

他の異性と仲良くすることらしい、が、

そんなに都合よくあるかな……、

私は天井を見上げながらそう考える。

そんなにない………いや、

『有るかもしれない、』

私はふと、数日前太宰さんと

駅前の喫茶店に行こう、という約束を思い出した。

使える！

そう思い立つと、

善(?)は急げ、ということで、

私は社長に、休みの報告をしに行った。







駅前の柱にすがるようにして太宰さんを待つ。

乱歩さんに嫉妬して貰うためといえ、

素直に少し楽しみだったりする。

時計を見てそろそろ来る頃だと思い、

目の前を通り過ぎる人の群れを見ていると、

その中に、見覚えのある影を見つける。

「やぁ、Aちゃん、待ったかい?」

そういった太宰さんの服は、

何故かぐっちょりと濡れている。

『そんなに待っていませんけど、

何故そんなに服が濡れているんですか？』

答えは、少し予想出来ないこともないが、

一応聞いてみる。

「あぁ、これはね、

此処に来る途中で、とてもよい川を見つけたのだよ、」

太宰さんは、笑顔でそう語り出す。

『それで川に入って来たと、』

「うん」

このまま無事につくのだろうか、

何故だか少し不安になってきた。

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