【文スト】 名探偵ノ恋事情 【江戸川乱歩】

恋事情 20 ページ24

『おはよーございまーす。』

ハネ気味の髪を、手で撫でながら、探偵社のドアを開ける。

「おャ、A昨日はお楽しみかィ？」

「仲がよろしそうで何よりですわ、」

二人は満遍の笑みで私に話しかけてくる。

『えっ、ちょっ、与謝野さん、 ナオミちゃんまで………』

なんでわかるんですか､､､と問いかけると、

ナオミちゃんは、私の顔の前に手鏡をかざす。

少し疑問になりながらも、鏡の中を覗き込むと、

鎖骨のあたりに赤い痣のようなものが見えた。


もしかしてこれって………………………キスマーク？……



そう思った途端に頬が紅潮していくのが分かる。

乱歩さんの方を見て、軽く睨むと、

乱歩さんは満足そうに駄菓子を口いっぱいにほうばっていた。








色々な人(主に与謝野さんと太宰さん)に、からかわれているうちに、

時間は過ぎ、一人また一人と帰って行き、

社内には、私と乱歩さんの二人だけになっていた。



沈黙の中、

一人、電子機器と向き合っていると

乱歩さんが後ろから抱きついてきて、鎖骨のあたりをすっとなぞる。

『ひゃっ、乱歩さん』

思ってもいない出来事に口から変な声が漏れる。

当の乱歩さんは、楽しそうな笑みを浮かべて、



なにかを思いついたように口を開いた。

「A、今日から敬語禁止ね、」

『ふぇ、』

又、変な声が漏れた。

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