【文スト】 名探偵ノ恋事情 【江戸川乱歩】

恋事情 19 ページ23

あれから数時間

部屋の時計は、丁度頂上を指す。

息苦しさはないものの、

流石に、起きているのも限界である。

眠ろうと目を閉じると、乱歩さんが横から接吻してきて、

それどころではなくなるのだ。

なすすべがないので、眠気を紛らわすかのように、

ゆっくりと瞬きを繰り返す。

「A、そんなに寝たいの？」

『ふぁい、』

唐突の乱歩さんからの質問に、

眠くて呂律の回らない口で返事を返す。

「ふーん、じゃあ寝てもいいけど、」

その言葉を聞くと、私の身体は、

待っていました！とでも言うように、一瞬で微睡みの中へ落ちていく。


というわけで、乱歩さんの、

「その代わり、1日1回僕の命令聞いてね、」

という発言は、聞こえるはずが無かったのだ。






『んー、』

と言い、軽く伸びをして

ズキリと痛む腰を抑えながらベッドから出る。

部屋を見渡して、改めてここが乱歩さんの家なのだということを自覚する。

時刻は午前5時、

出勤時間は午前7時半。

家に帰っても充分時間があることを確かめ部屋を後にした。

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