136【肖像に罰印を付ける】 ページ7
「その後も……君は苦痛を知る人間として暴力と悪に抗い、弱い立場の人をたくさん救った。
君は地獄に居た。地獄が君を正しく育てたんだ」
そこまで聞いて、静かにその場を離れた。
ああ、そうなんだ。そっか、中島は見放された訳じゃ無かったんだ。
要らないと本気で思われてた訳じゃなかったんだ。
何処へ行く訳でも無く、人の居ない裏通りをふらふらと進む。
「……むかつく」
何だか無性に腹立たしい。
何なんだ、これ。胸に渦巻くものは一向に晴れない。
何となく空を見上げる。
憎たらしいほどの橙色。
……そういえば中島と初めて会ったのもこんな夕暮れだった。
中島の生い立ちを知って、彼は探偵社員として真っ直ぐに生きて、鏡花ちゃんを救って、この街を救って。
勝手に親近感を持ってた私が馬鹿みたいだ。
中島は私が欲しいものを持っていた。
中島が恨んでいたあの院長も、あの仕打ちも、全ては中島自身の為だった。
凶暴な異能力を持って生まれた中島が生きていけるように、中島を思ってやった事だった。
今時三文小説でも使わないような、ばっっっかみたいな設定。
少しでも中島に親近感を覚えた私が馬鹿だった。
ぜんぜん違う、むしろ正反対じゃないか。
羨ましい。その真意が中島を思ったもので。羨ましい。その行動の裏にどんな形でも愛があって。羨ましい。羨ましい。羨ましい。羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい！！！！
感情が抑えきれなくなって、電柱を思いっきり殴る。
がん、と鈍い音が響くのも厭わず何回も殴り続けた。
「……はは」
一周回って乾いた笑い声が零れる。
私だけ、私だけこんなんだ。私だってそんなどんでん返しが欲しかった。
視界がゆらゆらと揺れる。妙に温かいものが零れて頬を伝う。
その感触が気持ち悪い。気持ち悪くてたまらない。
止まれ。止まれ。何でこんなみっともなく泣いてんの。止まれ。止まってよ。
何故か身体の奥が底冷えするような感覚に陥り座り込む。
みっともなく頬を濡らしながら、私はただ『羨ましい』と思っていた。
良いな、良いなあ、私もそれが良かった。
何で。何で。何が駄目だった？頑張ったのに、何がいけなかった？
懐かしいこの感覚は、この感情は、言葉にするなら＿＿＿＿
「……ぁ」
気付いた頃には、体内からナニカが漏れ出て来るような、飛び出してくるような感覚と共に意識が遠のいていく。
……その瞬間、何故かやけに心が安らいだ。
???【縺ｯ縺ｯ縺ｮ縺舌≧縺槭≧】→←135【そして彼は真実を知る】
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アラモード(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (3月15日 19時) (
レス) @page13 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴(プロフ) - うたねのどあさん» わ〜いつもありがとうございます〜！！私も書いていて本当に楽しいです！わりとこの後手探りなので頑張りますね……！ (1月18日 23時) (レス) @page10 id: 2b38128ef8 (このIDを非表示/違反報告)
うたねのどあ(プロフ) - 夢主ちゃんがメイン…！！お話の物語、展開とか本当に好きすぎます！！この先本当に楽しみです！！更新楽しみにお待ちしております！！ (1月17日 23時) (レス) @page10 id: d12e45b1fd (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴(プロフ) - 星月ぱろあ@ろあ民🐈‍⬛さん» ありがとうございます！そこそこの長さなのに凄いです……！これからも頑張ります！ (1月2日 0時) (レス) id: 2b38128ef8 (このIDを非表示/違反報告)
星月ぱろあ@ろあ民🐈⬛ - 一気見しました。更新頑張ってください。 (12月31日 21時) (レス) @page5 id: f169115c31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんご飴 | 作成日時：2023年12月24日 21時
