132【魔法少女とは】 ページ3
日も落ちすっかり夜の帳が降りた頃、探偵社の扉が荒々しく開け放たれる。
中の者が何事かと目を見やると、扉を開け中に入ってきたのは中島だった。
「敦?如何した……」
「Aちゃんが!」
尋常では無い様子に怪訝な顔をする。
中島の腕の中にAが眠るように抱えられていた。
「沢山、怪我、けが?してて、そうだ、与謝野さん!早くしなきゃ、はやく……」
「ぅ……」
中島が混乱しているのは誰の目に見ても明らかだった。
そんな中、抱えられていたAがうめき声を上げる。
「Aちゃん!」
「……あー、降ろして……」
そう言いつつ頭を抱えながら床に足を着けたAは、顔色こそ悪いものの怪我をしている様子は一切見受けられない。
「早く与謝野さんに診てもらわなきゃ……」
「必要無い」
未だにオロオロとしている中島にバッサリと云い捨てる。
しかし次の瞬間、胸を押さえ苦しそうに蹲った。
「う゛、ぐ……っ」
「Aちゃん!」
「大丈夫かい!?」
中島は勿論の事、与謝野もAに駆け寄る。
詳細は分からないにしろ、何かあったのは確かだった。
Aは額に脂汗を浮かべて中島に手を伸ばす。
「わだ、したやつ、あったでしょ……かえ、して」
「こ、この宝石?」
ポケットの中から取り出したあの宝石。しかしその宝石は何故か真っ黒に染まっていた。
それに目を見張ると、Aが無理矢理ふんだくった。
拍子に落ちた黒い卵も彼女によって回収される。
荒い息を繰り返しながら宝石に卵を近づけると、宝石はみるみるうちに元の輝きを取り戻していく。それと同時にAの呼吸も正常なものに戻った。
「A、アンタ大丈夫かい?」
「大丈夫。……ベッド借りる」
与謝野に支えられ、彼女は医務室の奥へと消えていった。
〇
「……Aちゃん……」
「敦、その膝如何したんだい」
医務室から戻って来た与謝野に自身の紅色に染まった膝を指摘される。
「いえ、此れはAちゃんの……」
「Aの?軽く診たけれど、あの子には傷一つ無かったよ」
「!?」
懐疑的な顔を浮かべる与謝野とは対照的に中島は驚愕に目を見開く。
(そんな……あれだけの大怪我だったのに)
自身の虎の治癒力でも、右脚以外原型を留めていなかったあの姿では回復は不可能だろう。
あんな状態からの全回復なんて、果たして、
「敦、大丈夫かい?」
(人間と呼べるのだろうか……)
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アラモード(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (3月15日 19時) (レス) @page13 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴(プロフ) - うたねのどあさん» わ〜いつもありがとうございます〜!!私も書いていて本当に楽しいです!わりとこの後手探りなので頑張りますね……! (1月18日 23時) (レス) @page10 id: 2b38128ef8 (このIDを非表示/違反報告)
うたねのどあ(プロフ) - 夢主ちゃんがメイン…!!お話の物語、展開とか本当に好きすぎます!!この先本当に楽しみです!!更新楽しみにお待ちしております!! (1月17日 23時) (レス) @page10 id: d12e45b1fd (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴(プロフ) - 星月ぱろあ@ろあ民🐈‍⬛さん» ありがとうございます!そこそこの長さなのに凄いです……!これからも頑張ります! (1月2日 0時) (レス) id: 2b38128ef8 (このIDを非表示/違反報告)
星月ぱろあ@ろあ民🐈⬛ - 一気見しました。更新頑張ってください。 (12月31日 21時) (レス) @page5 id: f169115c31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご飴 | 作成日時:2023年12月24日 21時