130【ナイスタイミングで無い事は確か】 ページ1
「これで依頼は終わり?」
「うん。探偵社に戻ろうか」
簡単な依頼を終え、探偵社までの道を二人並んで歩む。
時間はもう夕暮れ時に差し掛かっており、朱に近い橙の夕日が道を照らしていた。
この辺りは住宅街であることから、あちらこちらから良い香りが漂ってくる。
出自柄、そういった経験が皆無だった中島は少し目を伏せて隣の彼女を見た。
「……Aちゃんって、如何して家出したの?」
ぴたりと彼女の歩が止まる。
「…………それ、言わなきゃ駄目?」
絞り出した様なか細い声。
Aは真っ直ぐと前を向いており安易に顔が見れる。その筈なのに、何故か一切の表情を読み取れなかった。
「あっ、いや……ごめん」
気まずい沈黙が流れる。
やや俯きがちに歩く中島を見て、Aが口を開いた。
「……一つ言えるとしたら、私は家出だとは思ってない」
今度ははっきりと、しかし何の抑揚も無い声で言った。
「それに……」
次の瞬間、辺りの光景が一瞬にして変わる。
「「!?」」
Aは即座に変身し、中島を庇うようにしてマシンガンを構える。
以前にも同じような展開があった。広がる光景こそ違うものの、街中の風景だとかを切り貼りしたようなこの歪な空間。
「これってもしかして……」
「……はあ、私が居る時で良かったと言えるのか言えないのか……」
そう言いながら空中で手を広げると、微かな光が彼女の手の中に集まる。
それはみるみるうちに馴染みのある拳銃の形に変化していった。
「魔力で作ったから、多分効くと思うんだけど」
中島は渡された拳銃をまじまじと見つめる。
「すごい、こういう事も出来るんだ」
「まあね。とにかく自分の身は自分で守ってよ、そっちまで手回んないかもしれないから」
「分かった。ありがとう」
〇
「ああもうコイツうざい!!さっさと死ね!!!」
目の前の魔女に暴言を投げつつ、結界内を走り回りながらマシンガンをぶっ放す。
たまにチェーンみたいな攻撃が飛んできて身動きが取れなくなりかけるからめんどくさい。
幻覚使ったら使ったで手当たり次第に投げてくるから、使わない方がまだマシ。
ほんとマジで魔女って嫌い。魔女って名前名乗るならもっと物理じゃない攻撃してほしい。
「はー……」
やばい、走り回ってるせいで段々足が疲れてきた。
それに今回は中島にも気を配らないといけないから精神も使うし。
「Aちゃん!!」
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アラモード(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (3月15日 19時) (レス) @page13 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴(プロフ) - うたねのどあさん» わ〜いつもありがとうございます〜!!私も書いていて本当に楽しいです!わりとこの後手探りなので頑張りますね……! (1月18日 23時) (レス) @page10 id: 2b38128ef8 (このIDを非表示/違反報告)
うたねのどあ(プロフ) - 夢主ちゃんがメイン…!!お話の物語、展開とか本当に好きすぎます!!この先本当に楽しみです!!更新楽しみにお待ちしております!! (1月17日 23時) (レス) @page10 id: d12e45b1fd (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴(プロフ) - 星月ぱろあ@ろあ民🐈‍⬛さん» ありがとうございます!そこそこの長さなのに凄いです……!これからも頑張ります! (1月2日 0時) (レス) id: 2b38128ef8 (このIDを非表示/違反報告)
星月ぱろあ@ろあ民🐈⬛ - 一気見しました。更新頑張ってください。 (12月31日 21時) (レス) @page5 id: f169115c31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご飴 | 作成日時:2023年12月24日 21時