読心術 ページ4
きぃが不意にそう思ったそのとき、
「ならば貴様の首もはねてやる！」
と、琥珀が柊に向かい刀を振った。きぃは咄嗟に「それはやめろ！」と止めようとした。
「ええい喧しい！もう聞かぬわ！」
そう言って琥珀はその場から高く飛び上がり、先程柊の投げた刀を足場にして再び飛び上がった。行く先には......きぃがいる。
「あっ......」
さっきまで本気で走っていた柊は、きぃのところには到底たどり着けそうにもなかった。
琥珀は空中で口角をニィッと歪ませると、刀を大きく振りかぶり、落下の衝撃に合わせて刀を勢いよく振り下ろした。
ところが、笑ったのはきぃの方であった。
『シャッ』
きぃは刀を抜き、振り下ろされた琥珀の刀をその刃で止めた。
「......そう、うまくいくと思っていたのか？」
「なっ！」
琥珀は酷く驚いた顔をし、それからすぐに歯を食いしばり憎悪を表情で表した。地に足を付けた後、きぃの顔をキッと睨んだまま、
「......許さぬ。絶対に許しはせぬぞ」
と吐き捨てた。
きぃは少しびっくりしたが、琥珀を睨み返した。
そうしている間に、いつのまにか柊は二人の元まで来ていた。
「......琥珀、分かれよ」
「......何をぞ」
「回りを見てみろ」
「まわ......り......？」
柊にそう言われ、警戒しながらも琥珀ときぃは恐る恐る回りを見渡した。
「俺達の兵と琥珀の兵の勢力を見てみろ」
「俺が援助に来たから、琥珀の兵が押されている」
「どういうわけか、分かるな？」
そう言われ、琥珀はしかめっ面になった。
(我等が劣勢......というわけか)
琥珀がそう思った刹那、柊はゆっくりと頷いた。
「どうした......？」
琥珀は何も言っていないのに対し柊がいきなり頷いた理由を知らないきぃが訊ねる。
「なぜ頷いている？」
すると柊はきぃの方を目だけで見て「読心術で琥珀の心を読んだんだ」と言った。
「いつの間にそんな術を......」
するとそこで、琥珀が口を開いた。
「......つまりそれは......首をはねられるのは我の方だということか」
「......」
きぃが黙っていると、柊が一歩足を前に出した。
「さて......どうする？このまま尻尾を巻いて逃げるか、無謀にも立ち向かうのか」
「ク......」
柊のその言葉に、琥珀は顔に皺を寄せる。
「......」
きぃは以前黙ったままだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琥珀‐KOHAKU-(プロフ) - 感想やアドバイスなど、ご自由にご記入ください！できるだけ返事をいたします。 (2019年10月7日 1時) (
レス) id: 7c741c0c9f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：琥珀‐KOHAKU- | 作成日時：2019年10月7日 1時
