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主人公の過去その2 ページ4

いつも通り、夜11時頃に帰ってきた両親を僕は玄関で出迎える。

「お疲れ様、父さん母さん。夕食出来てるから一緒に食べよう」

「ただいま、A。あら、紅蓮が作ってくれたの?母さん嬉しいわ」

「Aは将来いい夫になるだろうな、ははっ」

「父さんと母さんが仕事で頑張ってるんだから、僕が料理を作るのは当然だよ」

このころから僕は親に手料理を振る舞うようになっていた。

「あら、誰かしら?こんな時間に」

ベルの音が聞こえた。母は出ようと席を立ったが

「奏、こんな夜遅くに来るなんて普通じゃない。無視しておけ」

父は殺気立っていて、母の腕を掴んだ。

「え、ええ。A、こっちにおいで」

「う、うん」

母は父の言葉で何かを察したのか、僕を強く抱きしめて優しく頭を撫でた。
あたたかい、それは母のぬくもりだった。

いつか、僕も父のように母を守れるくらい強くなりたい・・・一般人も悪さをする吸血鬼から守りたい、いつも隣で父を見ていたせいかこのころの僕にはそんな感情が芽生えていた。

父は、僕と母にしばらくは声を出さないことと小声で言った。
僕には父がどうしてそこまで警戒するのかがわからなかった。
いくら悪さをする吸血鬼が存在するとはいえ、わざわざ僕の家に来るだろうか?

今思えば、僕のその甘い考えこそが命取りになることだったことを昔の僕は知らない。

シーンとあたりは静寂に包まれる。ベルが鳴って感覚だが5分くらいは経った気がする。
もう大丈夫だろうと僕は食器を片づけようと席を立とうとした。

ふと正面にいる父の表情を見たが、さっきと変わらず殺気を出していた。
父は静かに席を立ち引き出しにある銀の銃を取り出すと、窓に銃口を向けた。

その瞬間、ガシャーンと窓ガラスが割れた。そこにいたのは、顔までフードを被った人物だった。体格からして男性だということはすぐにわかった。

手には武器らしきものは何も持っていない。じゃあ、どうやって窓ガラスを割ったのだろうか。
男の身体を見ると全身血まみれだった。しかし、その傷はあっという間に塞がる。

僕はその瞬間、男がただの人ではなく吸血鬼であることに気付いた。
力の強い吸血鬼ほど傷の治りが早いということは聞いていたから、おそらく男は吸血鬼の中でも強者なのだろう。

父は銃弾を連続で何発も撃つ。が、父の撃った銃弾は男には一発も当たらなかった。

主人公の過去その3→←主人公の過去その1



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設定タグ:吸血鬼 , オリジナル , 男主   
作品ジャンル:SF
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柊黒炎(プロフ) - ユーンさん» ユーンさん、返事が遅くなりましたが応援コメントありがとうございます。更新速度はかなり遅いですが、自分のペースで頑張っていこうと思っていますので最後まで応援よろしくお願いします。 (2017年11月20日 23時) (レス) id: efc399b360 (このIDを非表示/違反報告)
ユーン - 吸血鬼ハンター………かっこよすぎる〜〜〜〜〜!!\(=>д<=)/これからも頑張ってください!! (2017年10月23日 21時) (レス) id: f77b1d313c (このIDを非表示/違反報告)
柊黒炎(プロフ) - すずはver.アニヲタさん» 応援コメントありがとうございます。とても励みになります!更新は不定期にはなりますが、応援よろしくお願いいたします。 (2017年10月9日 17時) (レス) id: 0630f0c510 (このIDを非表示/違反報告)
すずはver.アニヲタ - かっこえぇぇぇ!! 続きがきになるぅぅぅ! (2017年10月9日 15時) (レス) id: 72db204b8d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柊黒炎 | 作成日時:2017年9月17日 0時

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