第6.5話 主人公と冬夜の過去編7 ページ20
その場を去ろうとしたが、ゴミがついてそれをとると言われ引き留められた。
正直、これ以上、一条神楽さんと会話してても不愉快になるだけだ、早く家に帰りたい。
僕は一条神楽さんの目を見てお礼を言った。仮にも年上なのだから、礼儀は弁えないと。
「どういたしまして。今日は月が綺麗だね、しかも満月だよ。知ってるかい?如月君、満月にはね、不思議なことが起こるんだって」
「不思議なことですか?……災害とか生物の産卵が起きやすいとは聞きますね。
それがなんですか」
「そういうのを信じてるところはまだ子供だね」
「誰も信じてるとは言っていませんよ」
意味のわからないことを言ってくる一条神楽さんの対応に僕は困っていた。
このまま無視して帰ってもいいが、久遠兄さんの親友であり、闇の殺し屋の創立者相手にそんなことをすれば、今の僕の立場も危うい。
「今だって不思議なことが起こりうるかもしれない。例えばそうだね……俺が“動くな”って言ったら、君の身体は動かなくなるとか。どう?面白いだろう?」
「っ……」
僕の身体はまるで石にでもなったかのようにピクリとも動かない。
どうして?さっきまで普通に動けたはずなのに。
「そういえばさっきから僕が自分の右手を君に見えないように隠していたの、気付いていたかい?今なら大分治ったから見せてあげるよ、さすがに対吸血鬼用の武器だとこうなってしまうのが当然かな。痛かったんだよ、だから謝罪してほしいな」
一条神楽さんは右手を僕の前に差し出した。その手は痛々しい火傷の跡があった。
が、徐々に皮膚が剥がれ、新しい皮膚になっていくのがわかった。
「……」
「何黙ってるの?ほら、謝罪だよ謝罪。俺に謝って」
「すみません、でした……」
口に出すつもりはないのに、一条神楽さんに言われただけで勝手にその言葉を発してしまう。こんなことを人間ができるはずがない。
「改めて自己紹介するね。俺は一条神楽、闇の殺し屋の創立者で、その正体は今はほとんどいない純血種の吸血鬼だよ」
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柊黒炎(プロフ) - ユーンさん» ユーンさん、返事が遅くなりましたが応援コメントありがとうございます。更新速度はかなり遅いですが、自分のペースで頑張っていこうと思っていますので最後まで応援よろしくお願いします。 (2017年11月20日 23時) (レス) id: efc399b360 (このIDを非表示/違反報告)
ユーン - 吸血鬼ハンター………かっこよすぎる〜〜〜〜〜!!\(=>д<=)/これからも頑張ってください!! (2017年10月23日 21時) (レス) id: f77b1d313c (このIDを非表示/違反報告)
柊黒炎(プロフ) - すずはver.アニヲタさん» 応援コメントありがとうございます。とても励みになります!更新は不定期にはなりますが、応援よろしくお願いいたします。 (2017年10月9日 17時) (レス) id: 0630f0c510 (このIDを非表示/違反報告)
すずはver.アニヲタ - かっこえぇぇぇ!! 続きがきになるぅぅぅ! (2017年10月9日 15時) (レス) id: 72db204b8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊黒炎 | 作成日時:2017年9月17日 0時