【あっ 質問は一人一個ずつで！】 ページ10
×××
「............紅茶がすっかり冷めてしまいましたねェ」
ケーキを食している内に、冷め切ってしまった紅茶＿＿＿＿桧室は顔を歪めると、カップをテーブルの上に戻す。淹れたばかりの時とは違って香りが強くなり、味の方も渋みが鋭くなっていたのだ。
相手の優雅な仕草を真似し、此方にも余裕がある事を示したかったのだが、変に格好をつけるんじゃなかった、なんて地味に後悔する。
「.........」
あの紅茶、温かい内に飲んでおけば良かった.........。
質問が来るのを待っている間、桧室は吠え杖をつき乍ら、誰もが心底下らないと思う事を考えていた。
やがて、フィッツジェラルドはゆっくりと口を開く。
「君は 自分が狙われている
「全く知りませんよ、先ず 知っていたら貴方からのお茶の誘いに乗ったりしませんもん」
即答だ。
桧室は首を緩々と横に振る。敵からの誘いに乗ると云う
フィッツジェラルドは彼女の答えを聞くと、クスッと小さく笑う。「それもそうか、なら 今の訊ねは愚問だったな」そう付け足した。
「教えてくれるンですか? 私を狙う理由」
気になったので、桧室は直球に質問する。
深紅の瞳は真っ直ぐに、目の前の相手を捉えていた。
彼は特に否定もしないし、肯定もしない。挑発をするような薄笑みを浮かべている。
だから、彼女は勝手に判断する事にした。
「無言は肯定だと判断しますよー?」
そう伝えるが、相手からの返事は「好きに受け取って構わない」だった。
＿＿＿＿決して怯んではならない、隙を見せたらお終いだ。
桧室は心の中で、自分自身にに強く言い聞かせる。
自分よりも力があり、立場もずっと上の人間に接触をする時、彼女は自分が
一度深呼吸をすると、再び微笑を相手に向ける。
「そうですか、では＿＿＿＿教えて頂く前に私から提案が有ります」
「提案? なんだ、それは」
彼女からの“ 提案 ”と云う言葉に、フィッツジェラルドの眉根が僅かに寄せられる。
「別に難しい事じゃあないですよ。ただ......これからは 互いに一つずつ 質問をしていきたいと思いまして、ね」
どうやらお互いに、まだまだ訊ねたい事が有るようだ。
「＿＿＿＿賛成だ」
×××
【探り合いって、地味に疲れる......】→←【紅茶は温かいうちに】
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ミサぽん(プロフ) - 沙羅さん» コメント有難うございます！別作品と掛け持ち故、少々遅れてしまいますが頑張ります！ (2020年1月7日 23時) (
レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
沙羅 - とでも面白いです！！更新待ってます、、、！！ (2020年1月7日 23時) (レス) id: d676b6612b (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 雛さん» コメント有り難う御座います！とても嬉しいです^_^ (2019年12月14日 14時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 文才のかたまり、わたしにもください。小説とても読みやすいです。 (2019年12月14日 14時) (レス) id: a41e581cbd (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - リリアさん» わわわ！コメント有り難う御座います！太宰夫婦シリーズ、読んでくださっていたんですねっ あの作品にも思い入れは沢山有りますから、余裕が出来ましたらまた更新を再開させようと思います！好きだったと言ってくれて、本当に嬉しいです！ (2019年12月14日 0時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミサぽん | 作成日時：2019年11月18日 9時
