【素敵帽子の素敵な朝】 ページ1
×××
胃薬が必要になるかもしれない＿＿＿＿。
携帯端末のアラームで、中原は目を覚ました。
薄いカーテンの間から僅かに射し込んでくる陽の光に、眩しさを感じた。
ピピピ ピピピ ピピッ......
鳴り続けるアラームを止め、欠伸を一つする。ゆっくりと身体を起こして時間を確認すると、未だ太陽が昇ってからそれ程時間が経っていなかった。
けれど、
「............卵焼きの匂い?」
鼻孔をふわりと擽る、何処か懐かしさを感じるような卵の焼ける匂いに、中原の腹は空腹の為か「ぐぅぅうぅ」と鳴る。
身体は正直だ。
寝室の扉を開け、リビングに向かう。
独り暮らしだから、誰かが台所に立っているなんてない。だが、今回は違った。
台所の方を覗いて見ると、昨夜から中原の家に弾丸のように飛び込んできた少女＿＿＿＿桧室 Aがフライパンを片手に料理をしていた。
「.........あ! 中原さん、おはようございます」
中原の気配に気づいた彼女は振り返ると、深紅の瞳を細めて笑みを浮かべる。
「......よォ」
「台所、勝手に使用してしまって御免なさい。昨日から私 何にも食べていなかったので、ほんのちょっとだけ拝借してしまったのですけど......」
以前にも一晩だけ、彼女を家に泊めた事があった。その時も今日のように彼女はやけに早い時間に起き、遠慮の『え』の字もなく、台所を使用している。
けれど、それも此れからは仕方がない。
何せ、彼女の身柄は昨夜から中原が保護をすることになったのだから。
「あー......気にするな、勝手に使ってくれ」
「有難う御座います。朝食作ったンですけど......食べますか?」
卓の上に並べられた朝食を見ると、中原は少し考える。
卵焼きに具沢山の味噌汁、焼き鮭に白米......彼女は和食が得意なのだろうか、そして
だが、
「......否 悪ィな、時間が無いから食えそうにねェ」
仕事があるから、のんびりとしている暇はないのだ。
折角二人分用意してくれたのに申し訳ない、そう彼女に謝罪をする。桧室の方は、「そうですか〜」と、特に気にしていないようだ。
此方も仕事に行く準備をしよう、時間は待ってはくれない。そう黙考し、中原は寝間着から何時もの服に着替える為に、寝室に戻ろうとする。
「中原さん」
すると、桧室が中原を呼び止めた。
何だと思い振り向くと、
「朝食の代わりに、お弁当を用意しちゃいますね」
＿＿＿＿どこの新婚さんだよ。
×××
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 102人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミサぽん(プロフ) - 沙羅さん» コメント有難うございます！別作品と掛け持ち故、少々遅れてしまいますが頑張ります！ (2020年1月7日 23時) (
レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
沙羅 - とでも面白いです！！更新待ってます、、、！！ (2020年1月7日 23時) (レス) id: d676b6612b (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 雛さん» コメント有り難う御座います！とても嬉しいです^_^ (2019年12月14日 14時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 文才のかたまり、わたしにもください。小説とても読みやすいです。 (2019年12月14日 14時) (レス) id: a41e581cbd (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - リリアさん» わわわ！コメント有り難う御座います！太宰夫婦シリーズ、読んでくださっていたんですねっ あの作品にも思い入れは沢山有りますから、余裕が出来ましたらまた更新を再開させようと思います！好きだったと言ってくれて、本当に嬉しいです！ (2019年12月14日 0時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミサぽん | 作成日時：2019年11月18日 9時
