46話 ページ48
やけに静かだ。
もう、鬼は死んだのか。
それか、隊士が全員死んだのか。
『烏、鬼はどこに。』
「モウ倒シタミタイダ。一名生存者ガイル。
ソイツヲ探セ」
言われてみれば、確かに人の気配がする。
無駄に広い屋敷の中を探し回り、なんとか生存者を見つけた。
『鬼は殺したか？』
全身の至る所に、傷跡がある白髪の少年に声をかけた。
その少年は、仲間の亡骸を抱えていた。
「遅ェよ。」
その少年はぼそりと何かをつぶやいた。
「遅えっつってんだよ！！」
少年は声を荒げてそう言った。
首が潰されている、これ以上叫ぶと傷が悪化してしまう。
「テメェが＿＿＿＿＿
テメェがもっと早く来てりゃ、匡近は死んでなかっ＿＿＿＿＿＿＿」
ごふっ、と少年は血を吐いた。
『喋るな。これ以上傷が悪化したら、お前も死ぬ。』
治療しようと近寄った。
「上等だァ。ここで俺は死ぬ、テメェを殺してからなァ！！」
そう言って、少年は刀を抜き出し刀を振りかぶった。
「風の呼吸 壱ノ型 塵旋風・削ぎ」
地面を抉るほどの威力。
太刀筋が良いな。階級は恐らく甲。
柱に匹敵するほどの実力を持っている、と言っても過言ではない。
だが、手負の人間の攻撃を喰らうほど、我は弱くない。
背後に回り手刀を当て、気絶させた。
すぐに治療しようとしたが、包帯の残りが3寸にも満たないほどだった。
『烏。近くにいる隠を集めろ。』
「チッ、仕方ネェナ！！」
少し放置してもこいつは死なないだろう。
かなり頑丈な体らしい。そして、恐らく稀血。
隠の気配を確認し、我は自分の屋敷へ戻った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 51人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kogyu788 | 作成日時：2023年5月3日 16時
