１８川上さんと…？ ページ19
メンバーとの戯れで疲れたのか今はぐっすり眠っているこぐまちゃん。
今日はクリスマスイヴの前の日ということもあり、いつもより早めに退社する人が多かった。
今は伊沢さんと俺とこぐまちゃんの３人しかオフィスには残っていない。
「伊沢さんは帰らなくて本当にいいんですか」
「ん？嗚呼、いいの」
エプロンを着けて、何かを煮込んでいる伊沢さんに声を掛けてみた。
俺の声かけに返答するほんの一瞬、伊沢さんの顔に影が差した気がした。
俺が核心を突こうと口を開こうとしたとき、それを遮るかのように伊沢さんが声を発した。
「川上、この状態でもいいなら話は聞く」
「俺は構いませんけど……」
「じゃあ、警察署で聞いたこと教えてくれないか」
「はい……」
俺は少しずつ頭の中で整理しながら話し出した。
「こぐまちゃんはＡＩＤで産まれた子らしいです。知ってるかもしれませんが、ＡＩＤというのは別名−ＤＩとも言い、日本語では非配偶者間人工授精のことです。こぐまちゃんの父親は、精子が非常に少なく、ＡＩＨ(配偶者間人工授精)が不可能であった。それゆえ、
「つまり、彼女は本当の父親...いや、育ての父親とは血がつながっていないということです」
「日本では、ＡＩＤで産まれた子の父親が、育てた男性かドナーかを明確に決めた法律がないんですよ」
「……っ、」
「でも、それだけじゃ終わらなかったんです。あの子の家庭は。こぐまちゃんの母親は、こぐまちゃんの父親を溺愛していた。だからこそ、ドナー似で産まれてしまったこぐまちゃんのことは愛せなかった。だから、彼女の母親は彼女に虐／待をし続けた。そんな彼女を、彼女の父親は、必死に守った、守ろうとした。けれどもそれが逆効果だった。
自分よりも愛されているこぐまちゃんを母親は許せなかったそうです。虐／待はさらに悪化し、狂った母親は、こぐまちゃんの父親を、自分の夫を手にかけた。そして、こぐまちゃんをも殺そうとしたんだそうです……」
「彼女の父親はずっと、幼い彼女に言い聞かせるようにこう言っていたそうです。”自分の精子が少ないばかりに、辛い思いをさせてしまった。お前は悪くない。すべて父さんが悪いんだ。”と。
そして、こぐまちゃん自身に本人の出自をすべて言い聞かせていたようです。とはいえ、２,３歳の頃の事ですから、それを理解できているか、覚えているかはまた別だとは思いますが……」
解説（これもしっかり読んでください）→←※ここから先、読むの注意ですのでこちらを一読ください。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 272人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑞西（シャラルー☆）(プロフ) - ゆのさん» わわ…っ、ありがとうございます！確かに、主人公ちゃんは可愛らしい（真顔）素敵なパワーをいただけたので、さらに良いものを提供できるよう頑張ります(*´▽｀*) (2019年12月25日 18時) (
レス) id: 705dc09b7e (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - 主人公が可愛くて、お話も素敵で、情報の管理もしっかりされていてすごいと思います！お話楽しみに待っているので、作者さんのペースで頑張ってください！応援しています(p｀･ω･´q) (2019年12月25日 9時) (レス) id: 6ede61fc28 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
