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翌日、いつも通り掃除を終わらせ、読み終わった本を手に外に出た。
昨日の雨は夜のうちに止んだようで、空はまぶしいくらいの青空だ。
「うわぁ、ドロドロだ……」
昼になって、多少は乾いたものの、この時代の舗装もなにもされていない道路は、あちこちに水たまりができ、物置で見つけたブーツに泥がついてしまっていた。
帰ったら拭こうと思いながら、すっかり行きつけとなった貸本屋の扉を開ける。
「あ。」
「おや。」
目の前に立っていた人物を見て、思わず声を上げた。
「やあ、久しぶりだね。」
「お久しぶりです、森さん。」
鴎外さんも、この貸本屋にはよく来るようで、何回かこうして偶然出くわすことがあった。
そのたびに、お勧めの本を教えてもらったりしているせいか、何かと話が合う。
そのおかげか、私と鴎外さんはとても仲が良くなっていた。
「もう帰るところですか？」
「そのつもりだったんだが、もう少しいることにしよう。」
「じゃあ、また、お勧めの本を聞いていいですか？」
「ああ、もちろんだともよ」
店内を二人で回りながら、ほかのお客さんの迷惑にならないように小声で話す。
「この前勧めた、福沢先生の本はどうだった？」
「はい、とても面白かったです。
私は、福沢さんと言ったら『学問のすゝめ』くらいしか知らなかったんですけど、
教育だけではなく、医学の本も出していたんですね。」
「『蘭学事始』は、杉田玄白という蘭学医が書いたものの写本だがね。
君が、『学問のすゝめ』まで読んでいるとは思わなかった。
本当にAは、なかなか博学多識だな」
鴎外さんは褒めてくれることが多い。
そのたびに、私は嬉しくなってしまう。
照れて萎縮しながら、私は返事をした。
「いえ、興味があるだけです。
それでどうこうしようとは、まったく思っていないので」
「『興味をもつ』ということは、勉強するにおいてとても大切なことだ。」
そういって、鴎外さんは笑った。
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あき(プロフ) - スズシロさん» ご指摘、ありがとうございます。修正いたしました。そう言っただけて嬉しいです(^^)ありがとうございます！ (2020年1月16日 22時) (
レス) id: 9c8110894d (このIDを非表示/違反報告)
スズシロ - ページ8の夢主の台詞に誤字が…！素敵な作品でのめり込んでしまいます。白雪さんとの会話が大好きです。 (2020年1月14日 20時) (レス) id: 2278f8332d (このIDを非表示/違反報告)
ブラッディ・ドリーマー(プロフ) - 蛍さん» ありがとうございます！！頑張ります！ (2019年2月7日 17時) (レス) id: 75edeed284 (このIDを非表示/違反報告)
蛍 - 凄く泣ける!!感動しました!!これからも頑張ってください!! (2019年1月31日 21時) (レス) id: 9dca3fdc31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あき | 作者ホームページ：
作成日時：2018年9月2日 0時
