戦国BASARA〜愛しき花よ、切なき花よ〜【希望の道】

４０１．戻ってきた日常 ページ22

加賀・前田屋敷で、出かけようとしている慶次を前に、キョトンとしている前田夫婦。


まつ「どこへ行くのです、慶次？」

慶次「ちょいと京まで。それから、元親のところまで足を伸ばそうかと――」

利家「慶次、しかし、お前は――」

まつ「武士となって前田家の当主を継ぐと、先だって申したではありませぬか」

慶次「へっ？俺、そんな事言ったっけ？」


　――ちょっとした間。
　まつは、まさか、という顔になり、


まつ「慶次…！？」


　横で嘆息をする利家。
　慶次は庭先へ逃げるように、駆け出てきた。


慶次「んじゃ、行ってきまーす！」

夢吉「キキッ！」

まつ「慶次っ！」


　薙刀を引っ提げて追いかけてくるまつ。


慶次「うへぇっ！」

まつ「ほんに、あなたという子は！ついて良い嘘と悪い嘘があります！」

慶次「まつ姉ちゃん、そんなに目くじらたてると眉間に皺が寄っちゃうよ！」

夢吉「キヒッ」

まつ「！まあっ！」


　騒いで辺りを駆け回る二人を、縁側から頭を掻きつつ眺めている利家。


利家「ふっ…、ふははっ、はっははははっ！」


　まつは慶次を追いかけながら、利家に振り向く。


まつ「犬千代様！笑い事ではございませぬ！お待ちなさい、慶次ッ！」


　間一髪、振り下ろされた薙刀をかわし、逃げる慶次と楽しそうな夢吉。
　戻ってきた前田家の日常がここにある。

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