戦国BASARA〜愛しき花よ、切なき花よ〜【希望の道】

３９５．いつか、きっと… ページ16

―慶次side―


　穏やかな風が吹く原野で目を開ける慶次。
　秀吉の戦いが終わった事を、魂で感受している。


慶次「…秀吉――」


　吹く風に、少し緩急がついてくる――。


〜心象風景〜


　風を介しての、かつての友と心の語り合い、魂の交感――緑そよぐ広い丘の、緩やかな傾斜に膝枕で横たわっている慶次と、座っている秀吉。


慶次「よくこうやって、一緒に風に吹かれたっけな…」


　黙ったまま風に吹かれている秀吉。


慶次「あの頃に戻ったみたいだ。なあ、秀吉」


　――いつしか、半兵衛もそこにいる。
　慶次を真ん中に、二人の脇で立てた片方の膝に腕を乗せ、もう一方の脚を伸ばした感じのリラックスした姿勢をする。穏やかに、


半兵衛「…ここは、時間がゆったりと流れているね」


　半兵衛に少年のような微笑を向ける慶次。
　一度目を合わせ、彼方を見る半兵衛。


半兵衛「こんな気持ちで風に吹かれたのは、初めてかもしれないな…」


　天命をまっとうした者の、安らかな語感。


慶次「久しぶりだな、三人揃うのは…」


　これが現実ではない事を知りつつ、哀しくも嬉しく、


慶次「ほんとに久しぶりだ」


　静かにそこにいる秀吉を見て、


慶次「そうだ秀吉、お前、桜を見るのが好きだったよな。春になったらさ、また一緒に――」

秀吉「…慶次よ」

慶次「えっ…」

秀吉「…人はいつまでも、貴様のように生きられぬ」

慶次「…」


　穏やかに聴いている半兵衛。


秀吉「全ての者を導き、真に強き国を作り上げるためには、弱さにつながるものがあっては、断じてならんのだ――」

慶次「…」


　慶次は寂しげに彼の言葉を聴いた。

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