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───あれからどれくらい経っただろう。
ここがどこかもわからないくらい遠くまで来てしまい途方に暮れていると、どこからか聞こえてきた拳銃の発砲音。
咄嗟に発砲音のした方に足を進めると、地面の上に血痕が落ちているのを見つけて。
その瞬間、全身の血の気が引いて行ったような気がし、…もしかして、なんていう嫌な考えを頭を振って消し去る。
『 ッ、快斗…!どこなの…っ! 』
血痕を辿っていってみると、海沿いの路地裏に続いていて。
路地裏に行くのは少し怖かったけど、快斗が見つかると信じて足を進めた。
───するとどうだろう。
その先には、白い衣装を血で赤く染めたキッド姿の快斗が壁に寄り添って座っていて。
『 ……っ快斗!! 』
「 は、A…?!なんでここに、ッ 」
『 そんな話はあと!!それよりこの怪我どうしたの?! 』
「 …ちょっと撃たれちまってな
でも心配すんな、俺は大丈夫だから、ッ 」
『 〜〜ッ!!なに言ってんのバカ!!
これのどこが大丈夫なわけ?!早く手当てしないと…っ! 』
持っていたタオルで止血しようとカバンに手を伸ばしたそのとき、伸ばした手を快斗に軽く引っ張られ、ふわっと快斗の匂いに包まれる私。
『 なっ、にして…!! 』
「 …いいから、っ
…ちょっとだけ、こうさせてくれねえか 」
『 …っわかった 』
快斗の匂いに包まれつつも、時々鼻をかすめる鉄のような匂い。
大丈夫、大丈夫だと自分にいくら言い聞かせても、不安は募っていくばかりで。
「 っ、泣くなよ…、 」
『 …ごめ、ん…っ
…快斗が、いなくなっちゃいそうで怖くて…っ 』
「 …俺は、いなくなったりなんかしねえよ
…A残して、いなくなれるわけねえだろ 」
そう言って微笑む快斗に胸が締め付けられる。
きっと今私は酷い顔をしてるはずだから、それを快斗に見られたくなくて、下を向いて下唇を噛み締めていたのだが。
そんな私の行動を遮るように快斗にそっと顔を持ち上げられ、気付けば視界いっぱいに快斗の綺麗な顔が広がり、唇には生暖かい感触。
全てが初めての感覚で、何が起きたのか理解することができなかった。
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天資浅漬け - あたりの小説ってありますよね…これ当たりだわ。神。快斗と夢主に一つ言うとすれば…末長く爆発しろ☆ (2021年7月26日 21時) (レス) id: be91a01192 (このIDを非表示/違反報告)
青 - 好き!!こう、あの、その…好き!!(語彙力)更新頑張ってください!応援してます! (2021年6月23日 15時) (レス) id: 157c6e138f (このIDを非表示/違反報告)
なーるー*WithU*(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張ってください!KOCHUCHUさん!応援してます (2021年6月17日 21時) (レス) id: 02b5228d37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こーさん | 作成日時:2021年6月13日 18時