検索窓
今日:559 hit、昨日:1,512 hit、合計:193,956 hit

. ページ25

.




───あれからどれくらい経っただろう。

ここがどこかもわからないくらい遠くまで来てしまい途方に暮れていると、どこからか聞こえてきた拳銃の発砲音。


咄嗟に発砲音のした方に足を進めると、地面の上に血痕が落ちているのを見つけて。

その瞬間、全身の血の気が引いて行ったような気がし、…もしかして、なんていう嫌な考えを頭を振って消し去る。




『 ッ、快斗…!どこなの…っ! 』




血痕を辿っていってみると、海沿いの路地裏に続いていて。

路地裏に行くのは少し怖かったけど、快斗が見つかると信じて足を進めた。



───するとどうだろう。

その先には、白い衣装を血で赤く染めたキッド姿の快斗が壁に寄り添って座っていて。




『 ……っ快斗!! 』

「 は、A…?!なんでここに、ッ 」

『 そんな話はあと!!それよりこの怪我どうしたの?! 』

「 …ちょっと撃たれちまってな

でも心配すんな、俺は大丈夫だから、ッ 」

『 〜〜ッ!!なに言ってんのバカ!!

これのどこが大丈夫なわけ?!早く手当てしないと…っ! 』




持っていたタオルで止血しようとカバンに手を伸ばしたそのとき、伸ばした手を快斗に軽く引っ張られ、ふわっと快斗の匂いに包まれる私。




『 なっ、にして…!! 』

「 …いいから、っ

…ちょっとだけ、こうさせてくれねえか 」

『 …っわかった 』




快斗の匂いに包まれつつも、時々鼻をかすめる鉄のような匂い。

大丈夫、大丈夫だと自分にいくら言い聞かせても、不安は募っていくばかりで。




「 っ、泣くなよ…、 」

『 …ごめ、ん…っ

…快斗が、いなくなっちゃいそうで怖くて…っ 』

「 …俺は、いなくなったりなんかしねえよ

…A残して、いなくなれるわけねえだろ 」




そう言って微笑む快斗に胸が締め付けられる。


きっと今私は酷い顔をしてるはずだから、それを快斗に見られたくなくて、下を向いて下唇を噛み締めていたのだが。


そんな私の行動を遮るように快斗にそっと顔を持ち上げられ、気付けば視界いっぱいに快斗の綺麗な顔が広がり、唇には生暖かい感触。

全てが初めての感覚で、何が起きたのか理解することができなかった。




.

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (134 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
561人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

天資浅漬け - あたりの小説ってありますよね…これ当たりだわ。神。快斗と夢主に一つ言うとすれば…末長く爆発しろ☆ (2021年7月26日 21時) (レス) id: be91a01192 (このIDを非表示/違反報告)
- 好き!!こう、あの、その…好き!!(語彙力)更新頑張ってください!応援してます! (2021年6月23日 15時) (レス) id: 157c6e138f (このIDを非表示/違反報告)
なーるー*WithU*(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張ってください!KOCHUCHUさん!応援してます (2021年6月17日 21時) (レス) id: 02b5228d37 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:こーさん | 作成日時:2021年6月13日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。