悶える彼氏と落ち込む彼女の攻防合戦【我妻善逸】

弐拾捌ノ型 弟代わり ページ28

( 炭治郎side )





小さな鬼をAが持って帰ってきた。

任務の途中に見つけたその鬼は、見た目は他の鬼とは同じものを持っているが、気配がまるで違う。

禰豆子…までとは言わないが、何か他の鬼とは違うのだ。その"何か"がよく分からないので、まだなんとも言えないが。

一緒にお館様のところへ相談しに行ったら、危ないと心配しつつも様子を見るように とのことだったので、Aのお屋敷で預かることにした。

その代わり、人を襲ってきたらすぐにでも殺して構わないとのことだった。人命が優先だ。

鬼を連れて帰ってきた時、善逸は怖がり、伊之助はすぐにでも切りかかろうとしていたので、それは慌てて止めた。事情を話したが、どこか納得しない様子だったが。




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『名前、どうしよっか』



料理当番である善逸が作ってくれたご飯を食べてる最中、Aが鬼を見ながらそう呟いた。

意外にも、Aは預かることに賛成だった。

鬼は滅したいほど嫌いだから、てっきり生計を共にすることは嫌だと思ったのだが、聞いてみると「鬼の生態を少しでも多く知りたいから」とのこと。

それに、Aは兄弟がいないから、ひとり弟ができたみたいな感覚だったんだろうな。





『鬼っていう名前は入れたいと思ってるの』


炭「なるほどなあ。何かいいのないか？」


伊「鬼に名前なんかいらねえよ」


善「いや、なんでお前ら鬼を飼うことに賛成なんだよ！！怖いだろ！！俺は怖いよ！！嫌だよぉおお！！」


『まあまあ、そう言わず。名前つけたら何か愛着沸くじゃんか』


伊「だから、そんな愛着なんかいらねえっつってんだろ。…まあ、どうしてもというなら子分５だな！」


『伊之助の子分なんかにさせないし。』



ぷくーっと頬を膨らませながら、「んー…」と頭を捻っているAを見ながら、俺も何かいい名前がないか考えていた。

炭太郎、炭男、炭広、炭……。うーん。




『決めた！鬼虎！』


善「オニトラ…？」


『うん！格好よくない？ね！

お前の名前は鬼虎だよ！』




嬉しそうに"鬼虎"のことを抱きしめるその顔は、やはりどこか嬉しそうで。俺が禰豆子や他の兄弟に感じるものと同じようなものを感じるのかなと思った。





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