弐拾参ノ型 久しぶりのお誘い ページ23
.
『惚れ薬、か…』
弱火をつけ具材に火を通している間、それを手に取って眺めていた。
受け取ってしまったなあ…。これの使い道はあるのだろうか。だって使うの怖いし。もしこれで善逸の身に何かあれば……。
……… でも、あの蟲柱様だよ?試していないとはいえ、しのぶさんは完璧主義者だ。しのぶさんの調合する薬はいつだって怪我に抜群に効いていた。今回だって成功している可能性が高い。
… もし。もしもだよ?もしも仮にこれを使って善逸が私だけを見てくれたら… 私はどれだけ幸せなんだろう。今これをこの鍋の中に入れたら__________、
「あれ、誰か帰ってきてる?…… あ、A」
『ぜっ、善逸!帰ってきてたんだ!おかえり!』
後ろからの声に はっと自我を取り戻し、サッと瓶を隠した。やばいやばい。私は何を考えているんだ。
「…… ただいま」
『たっ炭治郎と伊之助は任務に行っててもうすぐ帰ってくるんじゃないかなっ?』
「そ、そっか。… あのさ、」
『ん?』
「………あ!明日って空いてる?」
『明日?夜までなら暇だよ。夜からは任務があるんだ』
「そ、そっか。うん。…じゃあさ、お昼は俺とどこか出掛けない?」
『……あ、わかった。うん、じゃあ炭治郎たち誘っておくね』
「そうじゃなくて!…ふ、2人でいいじゃん」
『へっ、』
一瞬、彼の言葉に逢引かと思ったが、きっとみんなと一緒にだろうと思ったけれど、善逸の口から驚く言葉が出てきて、思わず素っ頓狂な声が出てしまった。頬を抓ったがちゃんと痛くて夢でもないことを実感する。
「だ、だめ…?」
『駄目じゃない!行く!行きたい!』
「そ、っか。良かった。…あ、…じゃ、…じゃあ、俺、禰豆子ちゃんのところに行くから!」
目は逸らされたまま、ずっと目が合うことが無かったけれど、すごく嬉しかった。
明日か。こんなに明日が来るのが楽しみなのはいつぶりだろうか。逢引は久しぶりで、最近全然出掛けてなかったから本当に嬉しいのだ。
禰豆子ちゃんのところへ走った善逸を目で追いかける。結局禰豆子ちゃんのところへ行ってしまったけれど、明日は数時間だけ彼を独占出来るのだ。今だけはいつもより嫉妬という感情が抑えられた。
善逸、まだ私の事好きでいてくれてるのかな。
『…………あ、やばっ』
なんて、期待を膨らませていたら鍋から焦げの匂いが漂ってきたので、急いで具材を炒め回した。
.
1148人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わたしちゃん(プロフ) - 遅れてコメ失礼します!すっごくきゅんきゅんして、善逸もかわかっこいいってかんじでもうほんと大好きです...!更新待ってます! (2021年6月28日 14時) (レス) id: 4e7e1a0744 (このIDを非表示/違反報告)
らら(プロフ) - 2人を元通りにしてあげてください!ww 続きめっちゃ待ってます (2021年3月20日 23時) (レス) id: b364ff4a49 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ - 続きが凄く気になります!夢主ちゃんとぜんいつの恋の行方が気になる!更新待ってます!楽しみです! (2021年3月17日 1時) (レス) id: ee58dd6f58 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続きが気になります!無理しないでいいですから更新楽しみに待ってます! (2021年1月7日 20時) (レス) id: 51e411dd35 (このIDを非表示/違反報告)
牛乳@きゃらめる - (コメント失礼}(*・ω・)ノ善逸と元通りになってほしいなぁ〜(*´`*)花冠のところ.凄くグッと来ました…\(*>ω<)/更新頑張ってください! (2020年11月7日 10時) (レス) id: 1d3bfbc3f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たむ | 作成日時:2020年3月26日 23時