節足動物蔓延る山で ページ5
――――時は大正、那田蜘蛛山の山中にて。
竈門炭治郎、嘴平伊之助両名が山に入り、操られた鬼殺隊の隊士と交戦していた頃。
AAは、最悪の目覚めをしていた。
まず最初に目に入ったのが髪の毛がごっそりと抜け落ちた人面グモという代物。さらに目は充血、完全に正気を失っているというおまけ付き。
そのあまりの気持ち悪さに再び失神しかけたAの目の前にスルスルと糸が垂らされる。
おかしな刺青を顔に施した人面グモは、「くふ、くふふふふふふふふふ」と笑う。蜘蛛だろうがお前は。蜘蛛らしくもうちょっと密やかに動け、喋るな。
そう言おうとするも、体に力が入らない。なんだか熱も出ている気がする。なぜだ。まさか―――――!
「ど、くを、もった……」
人面グモがニタリと笑う。宙に浮かぶ家の下、暗がりのそこから声がする。
「あァそうさ。お前は毒を盛られた。くふふ、もう四半時もすれば、お前もお前の周りの蜘蛛の仲間入りさぁ。」
なるほど。なるほどなぁ。不肖、AA。2度目の死因は毒殺。しかも無抵抗。これは怒られるどころではすまない。よくて降格、婚約取り消し、悪くてそのまま“処分”それだけは避けないと。今の自分に、1度死んでいるはずの私にそもそも鬼呪の力があるかは分からないけれど、試すだけは
人面グモは訝しむ。さっきまで何事か話していた女が沈黙した。まだ毒は完全にまわっていないが、気絶したか。軟弱だとせせら笑い、興味を無くして、
――――――――愚かな蜘蛛の後ろで、刀があるべき場所へと収まってゆく。
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作者名:シュレディンガーの猫 | 作成日時:2019年11月12日 23時