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見てるでしょ ページ8

「あっボール…!」



先程の色素薄い系の先輩が声をかける。

足元に転がってきたボールを持って、先輩に投げる。

先ほどより良く見えた景色には、少し動きづらそうにしてプレーをする先輩がいた。




「あの、あの先輩って…」
「…どの先輩」
「べ、べ弁慶…みたいな先輩って、あの、怪我してる…んですか?」
「…は」




左肩より上がらない右肩とやはり可動域は左より劣る右肩。

それを聞いた色素薄い系の先輩は怪訝そうな顔したあと、思いついたかのように弁慶先輩のところに行く。





「お前もそう思うか」
「っはっはいっ、左肩より、可動域がせ、狭い気がして…」
「…お前ならテーピングできるだろ。やってやれ」
「えっいや、…いいんですか?」
「わかるならな」




そう言うと監督はそのままその先輩を呼び、私の方へよこした。





「ありがとう、よろしくね」
「はっはい、…ええと…」
「俺は大平獅音」
「お、大平先輩…ですね!せ、背中、失礼します…」
「いやいや、汗臭いのにごめんね」






優しい先輩でよかったと思いながら、シャツを脱いだ先輩の背中の汗を拭き、テーピングを巻く。

きっとさっき転がった時に筋を伸ばしたのだろう。




「それにしてもよく気づいたね」
「い、いえ、私自身、怪我になれて…て…」
「へぇ、スポーツやってたの?」




やってもらっている最中にも話題が尽きぬように話しかけてくれる大平先輩。





「…いえ、ドジで、よく転んでました」
「そうなんだね」





意識すれば異能力は抑えられる。

だが、いつ漏れるかわからない恐怖と、昔のことへの拒絶が私に嘘をつく罪悪感を埋めつける。





「終わり、ましたよ」
「…ありがとう!」





先輩は何も疑わずににこやかに笑った。

見ないでって→←見ないでください


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作者名:あんにん会長 | 作成日時:2019年8月19日 22時

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