悲劇と出会い�� ページ16
〜3年前〜
「ねぇ由貴ー、この論文でいいと思う？」
「それだと実験方法が若干違うから、別のやつのがいいかも。」
「あー確かに。他を探すか。」
いつもの日常だった。
朝起きて、大学に行って、研究室で実験して――
だけど一本の電話によって、私の人生は大きく変わった。
「A、電話鳴ってる。」
「へ？ あ、見たことない番号……」
迷惑電話がこの頃多いので、いつもは番号だけの電話は取らない。留守電に用件が入っていたらかけ直すことにしている。
でもこの電話は、絶対取らないといけない感覚に襲われた。
虫の知らせだったんだとその電話の声を聞いて分かった。
"お母様が亡くなられました"
教授にだけ事情を話し大学を飛び出した。
道中のことはよく覚えておらず、気が付けば警察に着いていた。
母はパート先の会社のビルから飛び降りたらしい。
幸い顔には傷が少なかった。呼んだら起きてくれそうなほど安らかな表情だった。
悲しすぎると涙が出ない。どこかで聞いたことのある言葉は本当だった。
夢を見ているかのように、目の前のことが受け入れられなかった。
心に大きな穴が開いて、何かを感じることもできない。
ただ頭を占めていたのは罪悪感だった。
もっと気にかけてあげていたら
もっと毎日早く帰ってきてあげていたら
もっと話を聞いてあげていたら
そんな今更意味のない後悔ばかりが押し寄せて、私がちゃんとしていれば母を救えたのにという罪悪感に苛まれた。
「ごめんね、お母さん。本当にごめんね。」
そして私は生きる意味を失った。母こそが私の生きる意味だった。
ただ母が望む人間になろう、母を守ろう、それだけを考えて生きていたようなものだった。
すぐ後を追おうかと考えたが、命を絶つ勇気もなかった。
「お母さん、置いて行かないで、独りにしないで……！」
第一発見者の人はその会社の男性社員だった。
それが朝倉広樹さんだった。
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megumi(プロフ) - いなすらさん» ありがとうございます！ご期待に沿えるよう、頑張って執筆します(^^) (2019年5月22日 18時) (
レス) id: 04e98a2c19 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - めぐみさん» 誤字でしたか(笑)大丈夫ですよ！続き楽しみにしております((｡´･ω･)｡´_ _))ﾍﾟｺﾘﾝ (2019年5月22日 17時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - いなすらさん» いなすらさん、ご指摘ありがとうございます！誤字です、申し訳ありません。すぐに訂正いたしますm(__)m (2019年5月22日 17時) (レス) id: a2b7118433 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - 作品名、幸せだからいになっていますが、誤字でしょうか？意図的なものではないと思いますが、そうだったらすみませんm(*_ _)m (2019年5月22日 15時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2019年5月21日 5時
