高校3年排球部、東京から来た宮城出身セッターです。

第35戦：日常 ページ39

貴方side




「ふぇっくしゅんっ」

「ふふ、噂？」

「可愛らしいくしゃみですね！」

もう、好き勝手言っちゃって……と俺は小声でぼやく。

これで風邪なんか引いてたら大変だ、今日は早めに寝よう………




そんなことを思いながら、俺は荷物を運んで体育館内に戻った。

「ごめーん、遅くなった！」

「大丈夫大丈夫、今日向と影山が二週目終わったとこだから」

全く、一周でいいっていったのに……と大地は苦笑する。

「あ、白川君……！」

スガくんが走り寄ってきた。

少しくぐもった表情をしており、俺は首をかしげた。

「あのさ………「お前ら、練習再開するぞー！！」…あー…ごめん、またあとで！」

？

スガくんはパッと顔色を変え、何故か大地をどつきながらコートへ走っていった。









「縁下ー、木下ー、成田ー。ちょっと来てくれ」

「「「ウッス！！」」」

大地に呼ばれ、ローテーションで回っていたスパイカーが変わる。

一応今はセッターの役割をしている。

スパイカーでもいいのだが、いかんせん人数の割り振り的に三人セッターがいた方が都合が良かった。

「おっ、今度は日向と田中かぁ。ヨロシクな！」

緊張した面持ちの日向と田中に、俺は声をかける。

ほんの少しでも緊張が和らげばいいな、と肩を叩きながら言ったんだが………

「は、はははははいぃいいぃっ！！よろしくお願いしまっす！！」

「うおおぉぉ、何かめっちゃ緊張してきたぁああ………」


どうしてか顔が赤く染まり、身体が固い。寧ろ緊張度を増してしまったようだ(何故か)。

「え、えーっと…………頑張ろうな！」

「「ハ、ハイッス！！」」


今回で4回目だ。そんなに緊張されてもなかなか困る。


＿＿＿＿＿…先が思いやられるな。

俺は目と鼻の先に見えた合同合宿に思いを馳せながらも、それより手前にある二つの難関を突破することに集中した。









「それにしても、白川さんスゲーッスね！トスめっちゃ打ちやすいっす！」

「いっ、いやいや！俺なんかまだまだだよ！」

帰路にて、アイスを食べながら雑談する烏野一行。

俺にお世辞なんか要らないのに……と照れてしまう。

「俺、菅原さんにも白川さんにも負けません！」

「おっ、言うなー影山君よぉ」

「元祖セッターと強豪の正セッター相手に、そう簡単に勝てると思うなよー？」

影山の意気込みに、俺とスガくん以外の二、三年が対抗する。





そんな、日常。

第36戦：甘え→←設定3：従兄弟編

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