怪しい男 ページ10
気づいたらその男は血だらけで倒れていた
何これ何これ…
何なの…
どうしよう
やばい
警察を呼ぶべきか
逃げるべきか
その怪物の瞳が私を捉える
ヤバい、私もやられる
ギュッと目を瞑るが、一向に痛みはこない
目を開けてみると怪物は既にいなくなっていた
どういうこと……なんで……
ハッとして目の前の血だらけの男へ歩み寄る
顔を見てみるとやっぱり…さっきのお客さん
まだ息はしている
危険な人だけど怪我をしているのに代わりはない
手当しないと……
いやまず…救急車だよね
カバンを探り携帯を探すが電源が切れている
「うそ…」
つくづく運がない
どうしよう…人通りもない…
兎に角血だけでも止めなきゃ……
「あ〜あ、すごいねぇ
これ君がやっちゃったの？」
突然頭上から響いた声
顔を上げると
目隠しをした怪しい男が見下ろしていた
う、浮いてる……？
しばらく思考回路が停止した
男はいつの間にか私のすぐ側に近寄り
倒れている男を見下ろした
「何で助けてるの？」
「け、怪我を…してるから…」
「でもこいつ、君を襲ったんじゃないの？」
何でこの人、分かるの…
この人、ずっと見てたの？
「それでも…怪我をしてる人を…
放置は出来ないです」
「君変わってるね〜」
「あの、救急車呼んでください」
「いや、呼んでも無意味だと思うよ
病院じゃどうしようもない
特殊な治療も受けなきゃコイツ治らないよ」
「…………は？」
特殊…？
特殊って……そういえば…
『病院じゃどうしようもないって
特殊な所で預かってもらってるわ』
先程の花香のお母さんの言葉を思い出す
「まっ僕が来たからもう大丈夫！
後は任せなさい」
目隠しの男はそういうと私の額に指を置いた
そしてスゥッと意識が遠のいた
その感覚は少し心地が良くて
ドサッと
心地よい胸の中に飛び込んだような感覚だった
ああ…これって…夢か…
優しいと思ってたお客さんが襲ってきて
昨日の怪物が再び現れて…
そのお客さんが怪物に襲われて……
宙に浮いた男の人……
現実にしたら…ちょっとありえないよ…ね…
ちょっと……眠いかも……
「見つけたよ
______________暖」
その男の言葉を最後に意識は暗闇の中へ落ちていった
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作者名：はなり | 作成日時：2021年2月26日 12時
