You're my everything.

いじめ［さくはし］りおさんリクエスト ページ9

・一般人
・高校生



龍斗side



「ねぇ、何してるの？」



目が完全に隠れるほど前髪を長く伸ばし、いつもマスクをつけているクラスメイト。



“橋本涼”っていう涼しげな名前の割に暗い印象がある。



後ろの髪も長く、俯きがちな顔にかかっていてその表情を読み取ることはできない。



花壇のところにうずくまっているから声をかけると、びくんと大袈裟なほど肩を揺らす。



夏なのに長袖に身を包んでいて、見ているだけで暑そうだ。



「…！」



返事はない代わりに飛び跳ねるように立ち上がり、逃げられる。



「ちょっ！」



こうやって、何度話しかけても逃げられてしまう。



今は隣の席だから、もう少し関わりたいんだけど。



誰かと話しているのも見たことがないし、休み時間はフラッとどこかへ行ってしまう。



やめとけよってみんなに言われるけれど、俺は悪い人だとは思わない。



長い髪とマスクのせいで顔もまともに見たことがない人のことを、とやかく言えないしね。



次は何して話かけようかなーなんて考えていると、校舎裏から声が聞こえてくる。



「お前キモいんだよ」



「マスク外せよ」



不穏な空気を感じて校舎裏に行くと５、６人の男子生徒が橋本くんを囲んでいる。



見ると脳がカッと熱くなり、乗り込んでいく。



「やめときなよ」



「さ、作間！」



彼をいじめているのは、隣のクラスの目立つタイプの人たちだった。



「なにしてんのー？」



「関係ないだろ！」



「いや、その子俺の友達だから関係あるんだよね」



殴りかかってくるのをかわしていると、橋本くんが小さく震えているのがわかる。



早く側に行ってあげたいからこいつら片付けないとなぁ。



「俺、さっきのを撮影したんだけど拡散しようか？」



「は！？やめろよ！」



いやいやキレられても。



「早くどっか行ってくれない？橋本くんには今後手を出さないでね〜」



男子たちを散らすと、橋本くんの側に行って膝をつく。



「大丈夫？どこか痛い？」



力なくふるふると横に首を振り、立ち上がろうとするのを静止する。



「だめだよ、動かないで」



息をするのが苦しそうでマスクを外させようとすると、拒否される。



「離れて…」



小さいながらも初めて声を聞き、驚きを隠せない。



「いや、だって」



「作間くんまで、…巻き込まれるよ」



ぼそぼそと話す橋本くん。



「大丈夫。あいつら弱いから」



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