You're my everything.

高校［ゆとはし］☆ ページ4

・一般人
・高校生
・涼くんのみ女の子



涼side



長かった高校入試が終わり、無事入学式を迎えることができたことにホッとする。



友達はみんな違う高校に行ってしまい、知り合いも少ない中で始まる高校生活。



不安だなぁ、なんて思いながら門をくぐると、冷たいものが顔にかかる。



「っ、！？」



「うわ！新入生だよね！？ほんっとにごめん！」



上級生男子が遊んでいた水がかかったみたいで、びしょ濡れの制服を見下ろす。



あーあ、これは入学式出れないかもなぁ。



顔に貼り付いた髪の毛をかき分けて絞ると水滴が落ちていき、足元に水溜まりができる。



歩いていく同級生になる子たちの視線が痛い。



「はぁ…」



わざとため息をつくと土下座しそうなほど謝る年上の男の人が面白くて、思わず声を上げて笑う。



「別にいいですよ、大丈夫っす。入学式出れないときって、だれか先生に言った方がいいんですかね？」



「え、ぁあ、俺が言ってくるよ！本当にごめんね、…、えーっ、と名前、なんて言うの？」



「橋本涼です」



「橋本ちゃんね！俺は高橋優斗です！」



馴れ馴れしいんだかなんだかわからない高橋先輩。



「乾かせるところってあります？」



「うーん、ほんとにごめん…、」



凛々しい眉毛をへの字に曲げて困る顔は、子犬のようで愛らしいな、なんて。



ブレザーを脱ぎ、先生に言ってくるから、これ着てて！と手渡されたジャージに袖を通す。



ここまでしてくれなくてもいいのに。入学式出られなくて寧ろラッキーだし。



ベンチに座っていると、優斗先輩が走ってやってくる。



「橋本ちゃーん！」



かなりの勢いで走ってくる。え？なに？



「入学おめでとうッ！」



パッと頭上で手を開かれると、綺麗な桜の花びらが降ってくる。



「わ、…」



「安心して！落ちたのを拾ったわけでも千切ってきたわけでもないから！」



せっかく格好良かったのに今の一言で残念な感じになりましたよ、とは言わないでおこう。



「先輩、」



「ん？」



「制服濡れてるから花びらめっちゃくっつきます」



「ゔ、ごめんなさい…」



「あははっ、笑」



まだ出会って数分程度しか経っていないのに、私の心に深く侵入してくる優斗先輩。



まさかこの出会いが、一生を変えるものになるなんてね。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



高校受かりました！



応援してくださった方ありがとうございました。



.

女の子［みずはし］#らむね。さんリクエスト→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す