【d!】君は冷たい【kn】 (ページ32)

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君は＿＿＿ページ32

「人前で絶対泣かんようにしとったのに、泣かせてすまん。好きな女泣かせて、悪かった…」

『こね、しまくっ…』

一年生の頃からよく見てきたからわかってた。試合で負けた時、泣きそうになるのを堪えて、一人影で泣いてたのも、俺からの態度にも涙目になってたのも無理やり笑顔作ってたんも、気付いとった…自分がしでかした事に居心地悪くなって視線を逸してみてみぬふりしてた、俺を嫌わずに想ってくれてた

「すまん、ほんまにすまん…」

『っ…おね、がいだから、むりはしないで…わたしっ、純粋に、みんなとサッカーを楽しんでる、みんなと楽しそうにしてるこねしまくんがすきっ…大きな声で笑う、こねしまくんがなによりもすきっ…』

「うん、ありがとう…」

まるで泣き止まない赤子を宥めるように、背中を優しく叩きながら話を聞く。いっつもコロコロと変わる表情も何故か泣く姿は絶対に周りにみせんくて、泣きかけても絶対に我慢するような女で、誰にでも優しくするから人一倍傷つきやすくて繊細やのに、俺がそれを壊してたのになぁ…

「ごめんな。Aの性格に全部甘えてしもてたわ…もう、この足やと今日は試合できひんけど、それでも、つきおうてくれるか…？」

『うんっ…わたしでよければっ…』

抱きしめていた腕をはなし、きちんと顔を見て、目をみて話をする。ぐっしゃぐしゃな顔で笑う名前に思わず笑みが溢れる

「ぶっさいくな顔でわらうなぁ…」

『ふへへ、こねしまくんのせいだよ…』

鼻を啜りながら恥ずかしそうに笑うAは今まで見た中でも自然に笑えていて、やっとAの本当の笑顔を見れた気がして嬉しくなる

「これから、よろしく頼むわ」

『うん、私のこと、幸せにしてね』

「当たり前やわ。死ぬほど幸せにしたる」

こつ、と額を合わせ近距離でみつめあう

唇が重なり合いそうなほどの距離に思わず心臓が大きく跳ねるが、目の前で穏やかに、幸せそうに笑うAに自分も頬が綻ぶ。

どうか、これからもAと、ずっといられますように。

ーfinー