72.消えてくれるな ページ33
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ハッとして目を開ける。そこには無惨に崩れた亡国も、もう動かぬ良き友人も、闇に囚われた愛しい人もいなかった。
頬に流れる一筋の涙。自分が流したものなのかと自覚したと同時に、目の前でつられたように涙を流すエリザベス ・リオネスの姿が目に留まった。
ああ、戻ってきたのか。
昂る怒りを鎮め、受け止め、そして今守るべきものへ手を伸ばす。
それで守れるのかどうか俺にもわからない。が、少なくとも今より断然受け止めることができるだろう。力も、怒りも、闇でさえも。
少しくぐもった声など気にせず未だ呆然と俺を見る彼女に「なに泣いてんだ？」と茶化すように言う。
俺の涙を見たら、と聞こえたのでササッと指で拭った。忘れてくれ。
戸惑うザネリに感情も含め大事なもんは全部あると伝えると、ずっと気がかりだったことを尋ねる。
「ところで…Aはどーこへ行ったのかね？」
「そ、それが…」
「今まさに試練の最中だぞ。内容はお前とそう変わらない」
不安げなエリザベスの目線を辿ると、俺と同じように目を閉じてそこに佇む彼女の姿があった。浅く繰り返される呼吸と僅かに彼女の魔力を感じる。
俺と変わらない…なら彼女は今何を見ているというのだろう。幻覚か記憶か。苦しそうに見えないからおそらく前者だろうか。
不思議に思い首を傾けるとご丁寧にザネリが解説してくれた。
「こいつの魔力を戻すことは簡単だが、お前と同じく暴走しては何の意味もない。こいつが抱える２つの人格。――魔神と女神をどうにかしない限りAは魔力に呑まれ自我を失ってしまうぞ」
「…つまり？」
「A自身が２つの人格に打ち勝たなければならない。つまりは、人格同士の殺し合いだぞ」
Aが勝てば魔力を完全に己の人格のまま操作できるらしい。逆にAが負ければこちらへ戻ってくるのは、俺たちの知るあいつではない。
そうザネリは語った。
「そんな…っ」と声を漏らすエリザベスを他所に、俺は今にも動き出しそうなAの左手をとった。
「A」
小さく呼ぶ声は届いているだろうか。
何かを察したようにエリザベスはこちらにきて、もう片方の手を握った。
「この人は…Aは言いました。『私もメリオダスもなくならないよ』って！だから…私は信じています」
ザネリにか、彼女にか。誰に向けるわけでもなくそう言うエリザベスはやはり強い。
「……頼むから、消えてくれるな」
彼女に縋り付くように呟く俺は…弱い。
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リオ(プロフ) - ウォンさん» お久しぶりー！ありがとうね〜！！ (2020年7月9日 21時) (
レス) id: 0673ec93e1 (このIDを非表示/違反報告)
ウォン(プロフ) - りおちゃん！！、！久しぶり！！私もまだ生きてます！応援してるね！！ (2020年7月9日 11時) (レス) id: 76603ce61b (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - 瑞樹さん» ゆっくりですけど、また書けていけたらいいなと思います。 (2020年7月9日 7時) (レス) id: 0673ec93e1 (このIDを非表示/違反報告)
瑞樹(プロフ) - まさかまた戻ったきてくれたなんて………！これからも応援してます！ (2020年7月8日 21時) (レス) id: fb3dbf3e6d (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - みかやしさん» ありがとうございます。本当にもう、気長に待っていてください… (2020年7月8日 20時) (レス) id: 0673ec93e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リオ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rio1001/
作成日時：2018年7月6日 15時
