検索窓
今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:39,901 hit

ページ34

*

「ほっぺたに右手当てて悩むの、俺と一緒だなあって思ってさ」

彼がぺたりと自分の頬に手を当てた。それを見てストン、腑に落ちる。あ、そういうこと?確かに拳くんがよくやってるような気はするけど…

「前はあんまりしなかったのに、俺と付き合い始めてからやるようになったよね」

再び思考が止まった。……そう、なの?自分で意識したことなんてもちろんない。拳くんと付き合うようになって、見ているうちに段々と癖が移ってしまったのだろうか。

好きな人の癖は移る、とは聞いたことがあるけど、それが自分に当てはまるとは思わなかった。

「だから、可愛いなあって」

そう言ってニコニコと私を見つめる彼の視線が、なんだか恥ずかしい。ぷいと視線を逸らしてみても、彼が私を見つめているのが分かってしまうほどに、視線が刺さる。

「わ、私…資料の改善点聞きたかったんだけど」

羞恥に耐えられなくなった私は、完全に逸れた話題を元の路線に戻した。話を戻されたことに彼は不服そうだったけど、諦めたのかずい、と画面を覗き込んだ。

「えぇ、このままでいいと思うけどなあ…」

まあでも直すんだったらこことか?と彼の細い指が画面を軽く叩く。訊いた以上きちんとアドバイスをしてくれたんだけど、私の頭には全く入ってこなかった。いや、入ってくるわけない。

俺と同じだね、なんて言われて、これからどうしたらいいんだろう。右手を頬に当てる度、思い出してしまったらどうしよう。そう考えるだけできゅう、と胸が締め付けられてしまうくらい、私は拳くんのことが好きだった。

「ああもう、どうしよう…!」

ポートレートの袖/kwmr→←右手で招くは好きの自覚/fkr



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (56 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
127人がお気に入り
設定タグ:QuizKnock , クイズノック
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

てんしゅ(プロフ) - 初めまして。いつもドキドキしながら読ませていただいております。「香りにキスして」の煙草はアークロイヤルのパラダイスティーかな?と想像しました。自分もアークを吸っているのでにやにやしてしまいました。これからも応援してます。 (2020年12月7日 20時) (レス) id: 02b4360ac3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:エリッサ | 作成日時:2020年9月26日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。