身分 ページ12
当時の事を思い出したのか、小さく笑いながらひとらんらんは続ける。
「ほんと急にこの国の幹部に誘われたんだ」
ただの農民の俺がだよ、と念を押すように付け加えた彼にクラサはハッとしたように少しだけ目を見開いた。
「ひとらん様が他の皆様と同じになれないと仰っていたのは……」
「そう、身分の話」
彼女の言葉を遮るように「当たり」と頷くひとらんらんは、クラサに言葉を探す暇を与える事なく再び口を開いた。
「あれからすぐに国に引き返して、両親に話をして、了承を得て、皆も迎え入れてくれて、俺は無事に我々国の幹部になった。けど、
すぐにあることで不安になった。さっきも言った身分の事でね。
グルちゃんとトントンが貴族出身てのはすぐに知って納得したんだ。軽く話を振ってみれば、ゾムが貴族では無いにしろいい所の産まれだったり、大ちゃんでさえ高い身分の家の息子だってのを知った。
分かってはいたけどさ、つくづく自分が場違いな人間だと思ったんだよね。シャオロンやコネシマ、ぺ神なんかも同じ答えだろうと思うとこの質問はできなくなった。
ただ他の人よりも少し農業に長けているだけで特に才能も無くて、きちんとした教育を受けられもしなかったこの俺はここにいて良いのかなって……
そんな不安と疑問をずっと抱えて過ごしてた」
淡々と語られる本音に言葉が出ないクラサはチラと軽くひとらんらんの表情を窺う。
何故か申し訳なさそうにすぐさま落とした視線を元に戻すようにクラサを促した彼の顔は、普段と変わらずに穏やかな表情を湛えている。
クラサが自分に向き直ったのを確かめ、彼は「だからね」と切り出した。
「一度だけ、グルちゃんに聞いた事があるんだ。何で俺なんか幹部として招き入れたの、って」
その答えは、と目で問うクラサへひとらんらんは少しだけ肩の力を抜いて柔らかく笑って見せた。
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CrazyBook(プロフ) - 鳥類志望さん» コメントありがとうございます。本当に不定期で遅い更新ですが、気長にお付き合いくださいね！ (2020年7月27日 6時) (
レス) id: 89127ffd6d (このIDを非表示/違反報告)
鳥類志望(プロフ) - コメント失礼いたします。以前コメントさせていただいたキツネというものです。また更新再開していただいてとても嬉しいです。また更新頑張ってください、応援しております。 (2020年5月9日 6時) (レス) id: 5b352d10cf (このIDを非表示/違反報告)
CrazyBook(プロフ) - コメント、ありがとうございます！更新が滞っていて申し訳ありません。時間はかかりますが、必ず完結には持っていきますので気長にお付き合いください。 (2019年8月12日 8時) (レス) id: 89127ffd6d (このIDを非表示/違反報告)
キツネ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。当方、こちらの作品が作成された当初から閲覧させていただいておりますがとても面白く、文章も綺麗で大好きな作品です。お忙しい中更新大変かと思われますが応援しておりますね。 (2019年7月25日 10時) (レス) id: 5b352d10cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：CrazyBook | 作成日時：2019年1月8日 23時
